前半1000mが61秒1に対して、後半1000mは57秒1。こんな5ハロンものロングスパート戦に持ち込んだのは、1番人気のスワーヴリチャード鞍上のデムーロ。スタートが悪く後方からのレースになったものの、3コーナー手前で一気に動いて先頭へ。そしてそのままゴールまで押し切る、とてつもなく強い競馬で、不安だった右回りも克服。待望のG1制覇となった。
2着にはペルシアンナイト。こういう乱れたペースになれば、福永はやってくる。福永というのは基本的に何もしない、勝負をできない騎手なので、今回のように残り1000mという早い段階でペースが上がって周りが動き始めたという時に勝負に出ることはない。ただ、今回のペルシアンナイトのように少し距離が長いので早めに仕掛けるよりも最後の末脚勝負に賭けたほうがいい馬で、早めにペースが上がって先行馬が脱落する時に最後にようやく差してくるというような、漁夫の利を得るようなレースは、まさに福永ならではの形と言えるだろう。ただ、こういう競馬しかできないので、入着はできても勝ち切れない。着を拾うような競馬しかできないのがこの福永の悪いところ。
逆に勝負どころでスワーヴリチャードに付いてまくって行ったトリオンフの田辺や、4コーナーで内を突いて追いかけていったアルアインの川田のような騎乗は勝ちを狙える騎乗だった。ただ、今回はスワーヴリチャードが強すぎて、トリオンフは直線で早々と脱落して8着。アルアインは力のあるところを見せたがそれでも3着止まり。
他にミッキースワローは出遅れて後方からの競馬になってしまい5着。ダンビュライトはいつものように先行策に出たが、スワーヴリチャードに上がって来られてからのペースアップに付いて行けず6着と、力不足を露呈した。
そうはいえ、1、2、3、5、6、8着と4歳勢がかなり上位を占める形に。そんな中、古馬でがんばったのはヤマカツエース。こちらも勝負どころで付いて行くことができなかったが、直線で鋭い伸びを見せて4着。得意の2000m、そして内枠も味方しての結果とはいえ、古馬最先着は立派。
サトノダイヤモンドはまだ復活途中か、伸びを欠いて7着。
シュヴァルグランはこういう急にペースアップする展開は苦手そうだし、距離も短く休み明けで、13着と大敗。ここは叩き台と割り切って度外視して、次の天皇賞春で狙いたい。
8枠15番 | スワーヴリチャード | デムーロ | 57 | ○
| 1:58.2
|
3枠5番 | ペルシアンナイト | 福永 | 57 |
| 1:58.3
|
4枠8番 | アルアイン | 川田 | 57 | ◎
| 1:58.4
|
2枠3番 | ヤマカツエース | 池添 | 57 | ×
| 1:58.6
|
1枠1番 | ミッキースワロー | 横山典 | 57 | △
| 1:58.7
|
7枠14番 | ダンビュライト | 浜中 | 57 |
| 1:58.8
|
1枠2番 | サトノダイヤモンド | 戸崎 | 57 | ▲
| 1:59.2
|
5枠9番 | トリオンフ | 田辺 | 57 | ×
| 1:59.2
|
3枠6番 | スマートレイアー | 四位 | 55 |
| 1:59.3
|
8枠16番 | メートルダール | 松山 | 57 |
| 1:59.3
|
6枠12番 | ヤマカツライデン | 酒井 | 57 |
| 1:59.5
|
6枠11番 | ウインブライト | 松岡 | 57 |
| 1:59.7
|
2枠4番 | シュヴァルグラン | 三浦 | 57 |
| 1:59.7
|
7枠13番 | マサハヤドリーム | 北村友 | 57 |
| 2:00.0
|
5枠10番 | サトノノブレス | 幸 | 57 |
| 2:00.1
|
4枠7番 | ゴールドアクター | 吉田隼 | 57 |
| 2:01.9
|
結果:
ワイド300円的中 -200円
マルターズアポジーがいつも通り淀みの無いペースで逃げるものの、直線で失速。ソルヴェイグも距離が長いだろうし、ミュゼエイリアンも力不足ということで、先行馬が揃って失速してしまう。この差し有利の展開ながらも、人気のグレーターロンドンは内枠が災いし、また前のレッドアンシェルが伸びを欠いたことから、前が詰まって進路が開かず5着止まりと不完全燃焼に終わる。
そんな中、先行馬で唯一抜け出して行ったのはキャンベルジュニア。去年の2着馬で、このコースが合うのか、今年は早めに先頭に躍り出る。
しかしそこに外から追い込んできたのはヒーズインラブ。1600万でも強豪相手に安定した末脚を発揮し、着実に力を付けて重賞に乗り込んできたこの馬。中山の成績も良くコースも合うのか、重賞でもこれまでと変わらない末脚で、見事に重賞初挑戦で初勝利を決めた。
キャンベルジュニアは2年連続2着。
3着には後方の外から追い込んだストーミーシー。ニュージーランドT2着馬なので、いずれどこかで同じように外から追い込んで波乱を起こすだろうと思ってはいたが、今回がまさにその舞台だった。
レッドアンシェルはパドックあたりからイレ込みが目立っていたようで、力を出し切れなかったか7着。
マルターズアポジーは9着。逃げ馬なので崩れる時はあっさり崩れるのは承知の上なので、また次に期待したい。
1着:ヒーズインラブ △
2着:キャンベルジュニア △
3着:ストーミーシー
4着:テオドール
5着:グレーターロンドン ◎
結果:-500円
メイショウスミトモがスタートで落馬という波乱の幕開けだったものの、その後のレースはサンライズソアが逃げ切って、好位から抜けてきたミツバが2着という、人気通りの順当な結果に。サンライズソアは勝ちきれない競馬が続いていたものの、ここで重賞初勝利。ジャパンダートダービー2着の実績があるし、地方のほうが結果を残せるかもしれない。
地元の強豪カツゲキキトキトは勝負どころで付いて行けず5着。
強い競馬でこれまで勝ち上がってきたモズアトラクションも、小回り名古屋を意識してか中央馬に乗ることで鞍上笠松の佐藤友則がイレ込んでしまったか、いつもよりも前でレースを進めるもそれが裏目に出て直線で伸びを欠き4着。
しぶとく3着に粘り込んだのはキーグラウンド。名古屋なので前に行った方が有利ということもあり、普段から先行しているという点で、今回はこの馬に分があったか。
1着:サンライズソア ○
2着:ミツバ ◎
3着:キーグラウンド
4着:モズアトラクション △
5着:カツゲキキトキト ▲
結果:-500円
乾いたダートで超高速馬場、前残りばかりのドバイミーティング。締めくくりとなったドバイワールドカップも前残り。逃げて直線後続を突き放しての楽勝で制したのはサンダースノー。タイムもレコード勝ち。
2着には2番手から進んだ大本命のウエストコースト。前を捕らえる態勢で道中は進んでいたが全く捕らえられなかった。
3着にも3番手から進んで粘ったムブタヒージ。2年前の2着馬が今年は3着と、ドバイで何度も結果を残してきた実績馬の意地を見せた。
日本のアウォーディーは勝負どころで付いて行けず、最後は伸びて来たものの6着だった。
逃げるかと思われた人気馬ノースアメリカは出遅れて万事休す。
1着:サンダースノー △
2着:ウエストコースト ◎
3着:ムブタヒージ ▲
4着:パブル
5着:フォーエバーアンブライドルド
結果:
ワイド1010円的中 +710円
2410mで勝ちタイムが2分29秒45というスローペースの前残りの展開となり、日本のレイデオロだけでなく1番人気のクロスオブスターズも折り合いを欠いてしまう。
そんな中、しっかり折り合いをつけて逃げ切ったのはホークビル。さらに2、3番手のポエッツワード、クロスオブスターズがそのまま2、3着に。
あまりにスローペースだったのでレイデオロはダービーのような早仕掛けをすべきだったように思うが、先週の日経賞で痛い目に遭ったせいでルメールはまくることにためらいがあったのか、直線で追い出しを始めるも4着止まり。
他の日本馬もレイデオロと同じように後ろからの競馬となり、差しが届かずモズカッチャンが6着、サトノクラウンは7着に終わった。
1着:ホークビル
2着:ポエッツワード
3着:クロスオブスターズ ◎
4着:レイデオロ ○
5着:ベストソリューション
結果:-300円
ブックメーカー1番人気、ゴドルフィン所有、地元UAEのベンバトルが好位から抜け出すと日本馬は付いて行くことができず完敗。気が付けばターフ、シーマクラシック、ワールドカップとゴドルフィンの3連勝だった。ここは勝ったベンバトルが強かった。
とはいえ、2、3着を日本馬が独占。リアルスティールが早めに抜け出すもなかなか伸びきれないところに外から牝馬2頭が伸びてきて、最後は3頭並んでの叩き合いとなった。
2着には後方から追い込んだヴィブロス。昨年同様見事な末脚だったが1頭捕らえることができなかった。
差のない3着に中団から差して来たリアルスティールとさらにその後ろを見るような位置から差して来たディアドラの2頭同着となった。
ネオリアリズム、クロコスミアはかかりながら先行して早々と力尽きた。
1着:ベンバトル △
2着:ヴィブロス ○
3着:リアルスティール ◎(同着)
3着:ディアドラ(同着)
5着:プロミシングラン
結果:
ワイド540円的中 +40円
ドバイゴールデンシャヒーンは、前走初ダートでレコード勝ちしたジョーダンスポートが逃げて、高速ダートを味方にまたしても逃げ切るかと思われたが、直線に向くと失速し、前評判通りアメリカの3強対決に。
1番人気でBCスプリントの覇者ロイエイチはスタートで少し立ち遅れ、道中挽回して好位に付けるが、直線の伸びを欠く。
勝ったのは去年の覇者マインドユアビスケッツ。ドバイ適性の差か、外から直線一気のものすごい末脚を見せて見事連覇達成、それもレコードタイムでの決着となった。レースの大きさこそ違うが、日本で有名なブロードアピールの根岸Sを思い起こさせるようなとんでもない末脚だった。
2着には2番手から早めに抜け出して押し切るかと思われたエックスワイジェット。2年前の2着以降故障続きでなかなか大舞台での実績はなかったが、再びこのドバイで輝きを見せた。しかし2年前の雪辱を果たすことはできず、またしても2着に終わってしまった。
日本のマテラスカイの5着というのは、アメリカの3強は別格とすればまずまず健闘したと言えるのではないか。ハナを奪うことができず、やはりダートの本場アメリカの強豪とのスピードの差は感じたが、最後までよく粘った。
1着:マインドユアビスケッツ △
2着:エックスワイジェット ○
3着:ロイエイチ ◎
4着:ワイルドデュード
5着:マテラスカイ
結果:
馬連1530円的中 +1030円
UAEダービーは見せ場なし。タイキフェルヴール、ルッジェーロともに後方で付いて行くのが精一杯のまま6、8着に終わった。
勝ったメンデルスゾーンは18馬身半差というとんでもない強さのレコードタイムで圧勝。気が早いが、来年のドバイワールドカップの中心となって出て来るだろうか。ただヨーロッパ、アイルランドの馬なのでアメリカの強いダート馬に来年以降は通用しないかもしれない。
ゴドルフィンマイルはアディラートが大健闘。内で脚を溜めて直線で前が開くと逃げ馬を捕らえにかかって一旦は2番手に。最後は1頭に交わされたものの3着。
一方アキトクレッセントはスタートで滑って後方からの競馬で巻き返すことができず最下位14着。
ちなみに、今年のドバイミーティングはゴドルフィンマイル以外のダート戦は全てレコード決着だったようで、相当な高速馬場だったことが伺える。