2017年09月14日

韓国競馬観戦記・後編

韓国競馬観戦記・前編では1日目のソウル、プサンを旅した後、2日目にチェジュ競馬場に到着したところで終了。その続きです。


2日目のチェジュ競馬場。プサン・キョンナム競馬場と同じように2000ウォンの入場料を払って中へ。
チェジュ競馬場最大の特徴は、ポニー競馬ということ。チョランマルという種類で、このチェジュ特有のものらしい。模様の入ったような毛色の馬もおり、日本ではなかなか見ることができない。馬体重は300キロ前後。
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小さい馬だからといっても、競馬場自体は小さいわけではなく、プサン・キョンナム競馬場同様に広く直線も長い。
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ポニー競馬で、しかも騎手の斤量はサラブレッドの時と同じくらいなので、当然ながらタイムは遅く、距離も短いレースが多い。800m、900m、1000mと、距離設定が異様に細かく、900mでだいたい1分5秒くらいだっただろうか。
こんなに細かく距離設定できる競馬場はなかなかないのではと思うくらい、他にもいろんな距離がある。ただ、別にこれは距離設定が多くできるコースが素晴らしいのではなく、韓国の主催者がどうかしているだけ。
だいたい、競馬場が広いのに800m戦なんてものがある時点でおかしいと思わないだろうか。自分は全く思わなかったので、重要な事実に気がつくのに時間がかかった。

そう、800m、900m戦のスタート地点は3コーナー。1400m戦のスタート地点は1コーナーにある。中山芝1600mや笠松1600mのような、コーナー手前のポケットなんてぬるい物ではない。コーナーそのものにスタート地点がある。
当たり前だが、外枠不利。

プサンと違うのは、スピードが出ないこと、馬が小さいのでストライドが狭いことから、4コーナーで外に全然膨れず、内ラチに沿ってきっちり回ってくる。そして異様に追い込みが決まる。短距離戦なので逃げ切りばかりかと思いきや、それはプサンのほう。直線一気とまでは行かないが、中団から直線で外に出して差し切りというのは度々見られた。コーナーで外に膨れないから、差し馬の距離のロスが少ないせいだろうか。


さて、気になるのは競馬場の雰囲気。チェジュは韓国のリゾート地と言われており、またポニー競馬ということで、ポニーを見てかわいがるような子供連れの家族や、カップルなどがいてもおかしくない。ばんえい競馬のように、物珍しさで観光の一部として発展していてもおかしくない。そんな競馬場のスタンドに潜入。すると・・・
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安心してください。競馬場ですよ。(2日連続2回目)

この日は何か特別戦のようなレースがあったようで、6レースでは勝った騎手がガッツポーズをして、その後表彰式をしていた。韓国ではレース名が表示されておらず、おそらく新聞でも見ないと分からないのだろうが、よそ者は当然それを知る術がなく、終わって表彰式をしている時点でようやく気がついた。
表彰式では、普通に騎手が観客と話をしていたし、それまでにもパドックで騎手と観客が話をしていた。日本ではあり得ないがその辺の規則はかなり緩いのだろう。
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土曜ということで人は少し多めだったように感じたが、韓国の競馬場の良いところは券売機がかなり多いこと。スタンド内の券売機は、日本と同じように整備されているのだが、スタンド外の至る所に券売機がある。
その典型的なのが、この写真。
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場内の売店、セブンイレブンに人だかりが・・・と思いきや、その左側に券売機がずらりと並んでいる。当然、その前にはオッズが表示されるモニターがあった。どこでも馬券が買える、どこでも搾取される。どこでもドアならぬどこでも馬券こそが韓国の競馬場。

馬券の話へ。
この日はゆっくりと飛行機で移動していたため、3レースから開始して、最終9レースを残して8レースまでで終了。しかし全然当たらなかった。馬連をひたすら買い続けたが、かろうじて6.1倍を1回取っただけ。目標にしている万馬券なんて果てしない夢なのか。前日に51.9倍を取ったのが嘘のよう。
ちなみに、受付に行けば外国人用のマークシートをもらえた。マークシートには、他では見たことのない、言語をマークする欄があり、日本語、English、中文の欄があった。せっかくなので日本語をマークして券売機に突っ込んでみたところ、画面の表示も機械の音声も、さらには出てくる馬券も日本語になった。なので、このチェジュでの当たり馬券の写真は日本語表記になっている。
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そうして大敗しても、日本円で考えればわずか900円程度。ポニー競馬ということで予想が難しすぎたので、この日は賭け金をかなり押さえており、ダメージは最小限に押さえられたはず。

帰りもタクシー。帰りのタクシーは競馬場前に並んでいるので声をかけて乗るのだが、需要が高いからだろう、乗る前に価格交渉を持ちかけられ、2万ウォンと言っていることを少ししてから理解。これ、厳密には違法なのでは?と思いつつも、渋々合意した。そうしないと帰りの飛行機に間に合わないし・・・。
もちろん、帰りのタクシーも超絶アトラクションだった。

済州国際空港を18時10分に発ち、ソウルの金浦国際空港へ。1人海外、1人タクシーと初めてのことが多いこの旅だが、1日に2度飛行機に乗るのも人生初。金浦国際空港からは、初日の朝に仁川国際空港から乗ったものと同じ鉄道に乗り、ソウル駅に20時に到着。35時間ぶりに、ソウル駅に帰ってきた。

そして、ソウルで1泊。駅から徒歩10分ほどの、路地裏にある明らかに怪しいホテルだったが、フロントのおっちゃんは日本語が通じたので楽だった。
韓国の街は、韓国人と似て外面をよくするような雰囲気を感じた。というのも、大通りに近いところは非常にきれいに整備されているのだが、1本裏の通りに入るとそこは発展の気配のない、アジア感満載の道になっていた。


最終日の日曜は、ついに最大の目的のコリアカップ、コリアスプリントの開催日。ソウル駅から地下鉄1本、25分ほどでキョンマゴンウォン(競馬公園)駅に到着。
駅名そのままで、地上に上がると目の前がソウル競馬場。といっても、阪神競馬場のように競馬場の入場ゲートまでが長い。
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ソウル競馬場はここまでの2場と違って、ICカードでタッチして入場料を払うような最新設備になっている、のだが、この日はありがたいことに入場料が無料。しかも入ってすぐのところでスイートポテトとサイダーを無料で配っており、その列ができていた。戦後の配給じゃないんだから行列作って食料もらわなくても・・・などとは決して思わず、自分ももちろんその配給にありついた。
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これまでの2日間は、事前の移動が長かったため1レースからの参戦はできなかったが、この日は10時45分発走の1レースに余裕で間に合う、9時45分頃に競馬場に到着。しかしここまでも書いたように韓国では1レース前にほとんどの人が集まるので、すでに場内はかなりの人。
帰国後に知ったことだが、入場者数は39000人ということで、日本のG1と同じくらいの人が集まっていたようだった。
とは言っても、ソウルもまた「レッツランパーク」の名にふさわしく、パドックの裏に噴水があったり、小さな丘のハイキングコースのようなところがあったりして広々としている。そしてここも競馬場内のあらゆるところに券売機がある。また、バウチャー制度のおかげで現金を扱わないため、馬券の購入がかなりスムーズで、人が多くても券売機で行列ができることはほとんどなかった。


さて最終日、目標の万馬券を目指しての勝負が始まった。
ここまで2日、特にチェジュはあまりに弱すぎるメンバー同士のレースが多かったので、予想が難しすぎた。しかし、この日の2レースは明らかに1頭別格の馬がいて、今までにない鉄板レースだった。新馬戦なのだが、その前の調教審査のようなトレーニングレースで、他の馬がボロ負けしているのに対して、この馬は唯一1着。勝ちタイムも2秒程度早く、もうこれは楽勝だろうというメンバー構成。
ということで、その馬の複勝に10000ウォンを突っ込むという、収支を全く気にせずとにかく1万ウォン以上の払い戻しだけを狙う、もはや反則のような方法を使う。すると・・・
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8馬身差の大楽勝。楽々と逃げ切りを決めてくれた。ありがたいことに、最終オッズが1.2倍になってくれたので、払い戻しは12000ウォン、無事に万馬券を的中させることができた。
ちなみに、韓国は馬券の券種による売れ方の偏りが大きく、複勝が1.2倍なのに、単勝は1.3倍だった。

これであとはもうのんびり楽しめると、肩の荷が下りた。こんな方法で万馬券を取ったと言えるのかと少し葛藤はあったが、目標達成したことに違いはない。

コリアスプリントは7レース。6レース終わりですぐさまパドックに向かっても、やはり韓国の人は裏開催のプサン競馬に集中しているおかげで、ガラガラ。余裕で最前列を確保して出走馬の登場を待っていたら、やはりと言うべきか、同じようにパドックで早々に席を確保していた周りの人は日本人だらけだった。

そんなパドックにもモニターがあるのだが、問題なのは裏開催のレース映像を放映していること。おかげで、パドックで周回している馬がいる周りで観客の歓声が上がり、少しテンションの上がってしまう馬もいた。
そうこうしているうちに、グレイスフルリープと武豊騎手の登場。日本人からの応援の声も多く聞こえた。
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さて、肝心の馬券。
人気を見ると、海外馬に人気が集中している。とは言っても、グレイスフルリープではなく、香港のラッキーイヤー、シンガポールのウィンブルドンあたりが人気をしていた。
韓国人は理解しているのか知らないが、このあたりの馬がいくら実績が良くても、それは芝の話。ダートで走ってくれる保証なんてどこにもない。
ということで、香港のラッキーイヤーは押さえつつも、残るは地元韓国馬を狙う。3冠馬パワーブレイド、短距離で結果を残してきたシルバーウルフ、トラオンポギョンソン。そしてやはり韓国とはレベルが違うということで日本のグレイスフルリープを含めた5頭馬連ボックスで勝負。あとは、応援馬券のつもりで、グレイスフルリープの単勝を100ウォンだけ買った。
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結果は知っての通り、グレイスフルリープが早め抜け出しから、パワーブレイドの猛追を凌ぎ切り、見事に韓国G1を制覇。武豊も韓国競馬初騎乗で初勝利を決めた。
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ソウル競馬場は検量室がゴールを過ぎたところの、スタンドとコースの間にあるため、出走した馬が目の前に戻ってくる。そして、騎手のインタビューも目の前、日本ではあり得ないような超至近距離で見ることができる。がんばって手を伸ばせば武豊に触れるくらい。
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日本馬が勝ったことに加えて、馬券も当たったことでかなり良い気分になったわけだが、この馬券の配当が嬉しい大誤算だった。
なんと、単勝が14.2倍。香港やシンガポールの馬は人気しながらも、日本馬がどうして人気しなかったのか全く分からないが、これは信じられない配当だった。
そして、馬連に至っては76.2倍。馬連ボックスを1点500ウォン買っていたため、払い戻しは単勝と合わせて39520ウォン。万馬券どころか、3万馬券的中となった。(あくまでウォン)
ちなみにだが、もし三連複ボックスにしていても当たっていたわけで、これだとなんと395.1倍。そう思うと少し後悔もしてしまう。その波乱の立役者、3着に入ったトラオンポギョンソンは9番人気。韓国馬の中でも5番人気と、そこまで評価は高くない馬だった。ただこれは、前走1800mを使って大敗していたのが原因だろう。2走前は1200mのオープン特別を勝っており、色々な距離で結果を残している他の韓国の強豪と違って短距離専門の馬で、その点でも人気の盲点だったのかもしれない。

気分良く続くコリアカップへ。
パドックは当然最前列を取れるのだが、ソウル競馬場のパドックは妙な形をしており、向かって右側手前に、パドックのほうへ少し飛び出した空間が有り、至近距離でほぼ真上から馬を見ることができるので、ここをキープ。
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クリソライトと武騎手、ロンドンタウンと岩田騎手が登場し、イレ込んだりすることもなくパドックを回る。
前レースのコリアスプリントを勝ったこともあってか、外国人からも「ユタカ」の声援が飛ぶ。
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さて、このレースの問題は馬券の買い方になるだろうと思っていた。日本馬2頭の馬連が1倍台とかになるのではないかと。
しかし、プサンのレースが終わり、いざコリアカップのオッズがモニターに表示されると、驚いたことにロンドンタウンは3番人気。2番人気には香港のサーキットランドが。
韓国人は世界の競馬情勢を理解していないのか、はたまた応援の中国人が香港馬の馬券を買いまくったのかは知らないが、芝でしか実績がない香港馬で、しかも短距離しか世界に通用しない香港では1800mより長い距離ではレベルが低い。それなのに人気してくれているとなると、もう日本馬2頭の勝負で決まり。

ということで、馬連と、念には念を入れて三連複。三連複の相手には、さすがに芝とは言えチャンピオンズマイル4着の実績が抜けている香港馬サーキットランドを一応押さえたのと、やはりダートなら香港よりアメリカということでパパショットに地元の去年3着馬トリプルナインと、そのトリプルナインが馬体重マイナス10キロと明らかに細く見えたのでもう1頭地元の人気馬シャムロッカー。
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結果はロンドンタウンとクリソライトが、3着に17馬身の差を付け、今年も日本馬の力の違いを見せつけた。それと同時に、香港やヨーロッパ勢のダート適性のなさが改めて明らかになった。
そして、3着争いは地元の人気馬トリプルナインが迫るものの、アメリカのパパショットが粘り切った。
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このパパショット、ダートの本場アメリカの馬にもかかわらず6番人気ということで、馬券のほうは三連複も合わせておいしい配当に。
馬連は3.6倍と、予想を遙かに上回る高配当。そして三連複も22.3倍。応援馬券のつもりで勝った日本馬2頭の単勝も、ロンドンタウンが勝ったのでより高配当に。
バウチャーは現金化できないため、全部使い切るようにこのレースに10500ウォンを突っ込んだ結果、見事に4万馬券を的中。(もちろん、ウォン)
そして、この日の最終的な払戻額は、なんと大台の10万を超えた。(当然だが、ウォン)

さて、メインのコリアカップを終えて馬券も当たり、跡を濁すようなことはしたくなかったため9、10レースを待たずして17時過ぎに帰路に。仁川国際空港へ向かった。

この3日間で出走していた馬を調べると、その種牡馬にメイセイオペラ、イングランディーレ、リミットレスビッド、イーグルカフェ、アドマイヤドン、マイネルセレクト、テスタマッタ、ニホンピロニールを見つけることができた。日本でそれなりに活躍した馬が輸出されているが、やはり日本の種牡馬と比べると実績で劣るため、まだまだ韓国競馬は発展途上で、これからなのだろうというのを強く感じた。
ただ、それは馬の強さだけでなく、チェジュ競馬場でコーナー部分にスタートが設けられることや、芝のレースがないことといった、設備面の問題もあるだろう。
また、それ以上に感じたのは、ファンの接し方というのが、どうしてもギャンブルとしての側面が強く、馬の写真を撮ったり騎手にサインをもらいに行ったりというような姿が見られなかったことが、まだまだ世界との隔たりを感じるところだった。
そして、何よりコリアカップ、コリアスプリントでは明らかにファンの知識不足を露呈するようなオッズだったことが、世界との大きな隔たりを感じた。
(いいように考えれば、今のうちならコリアカップ、コリアスプリントで大儲けできるということだが)

最後に、空港付近のカジノやらで時間を潰し、競馬で予想以上に手に入ったウォンを日本円に両替した後、搭乗口で出発を待ちながらテレビを見ていたところ、韓国のスポーツチャンネルでちょうどこの日の競馬を放送していた。
録画とは言えパドックから放送しており、ちょうどコリアスプリントのパドックのタイミングだったので、のんびり眺めていた。

ここで一度思い出してほしい。コリアスプリントのパドックを、どこで観戦していたのかを。
そう、最前列である。

韓国でテレビデビューしてた・・・。
しかも、ちょうどグレイスフルリープのタイミングで、客席にいる自分がはっきりと写っていた。

見事なオチがついたところで韓国を出発。
22時50分発の深夜便。やっぱりいつも通りのLCC、ピーチのエアバスA320。羽田空港着は月曜の1時。
始発まで羽田空港で一晩を過ごすという、最後の最後が最もハードなスケジュールの、2泊5日の韓国競馬旅行となった。


ということで、3日にわたる韓国競馬観戦記でした。パドックでは全馬の写真を撮ったりと、もっともっと書きたいことはあったのですが、書き始めるとキリがありません。
今回が初の1人海外旅で、問題なく帰ってくることができたので、海外への恐怖心も払拭され、今後の海外旅行の意欲はさらに高まっています。
次はどこに行こうかと、早くも計画し始めているところです。
ちなみに、韓国に丸3日近く滞在していましたが、韓国語は全然勉強していませんでした。それでもなんとかなるもの。
かろうじて、アニョハセヨ、カムサハムニダは一般常識的なものとして知っていましたが、それ以外に勉強して行ったのは、タクシーやシャトルバスに乗るための、「キョンマ(競馬)」という言葉のみ。あとは、片言の英語でなんとかなりました。
ただ、韓国だと店に入っても韓国人と間違われるので、韓国語で普通に話しかけられてこっちが戸惑ってしまうことが多々ありました。
posted by ナイト at 12:29| Comment(0) | 競馬観戦記 | 更新情報をチェックする
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