2着にはクイーンズリング。やはり有馬記念は枠が大きく影響するということ。好位の内でキタサンブラックの作り出した流れに乗って脚を溜め、最後の直線でひと伸び。得意の小回り中山で武器の瞬発力を最大に発揮し、持久力で勝るシュヴァルグランやスワーヴリチャードを、一瞬の切れ味で内から差して見せた。
3着にはシュヴァルグラン。外からスワーヴリチャードにぶつけられていなければ余裕で2着だっただろう。ただ不利があったとはいえクイーンズリングに勝てなかったあたりを見ても、やはり中山は向いていない。
スワーヴリチャードは終始大外を回っての4着。クイーンズリングとは対照的な立ち回りで、完全に枠に泣いたということ。ただ、それで4着に来ているのだから右回りの不安はほぼ快勝されたか。
5着のルージュバックはスタートが悪く最後方からだったが、最後はメンバー最速の上がりで追い込んだ。やはりポテンシャルは相当の物があるようだが、G1だとどうしても結果につながらないのはなぜだろうか。
先行してキタサンブラックと一緒に流れ込む競馬を期待していたシャケトラは、失速して6着。東京より中山がいいのは間違いないと思うが、まだ4歳なので、来年もう一段階成長することを期待したい。
ヤマカツエースは1枠ということで色気を持って勝負した結果、10着。去年は後方で脚を溜めて直線だけの着を拾う競馬での4着だったので、やはり勝ちを狙うような競馬をするには距離が長いのだろう。
ミッキークイーンは後方で大外を回り続けて11着。枠も展開も何もかもが向かなかった。
サトノクラウンは13着。出走の判断を迷っていたり、調教もイマイチだったりと、天皇賞秋で燃え尽きていたのだろう。
最下位のサクラアンプルールは直線でのスワーヴリチャードの斜行で大きな不利を受けた。クイーンズリング、シュヴァルグラン、スワーヴリチャードと一緒になって追い込んできていただけに、あれが無ければ2着争いに食い込んでいただろうから、やはり小回りコースでの瞬発力に優れており、中山記念も札幌記念もフロックではなかったことを改めて示したのではないか。
同じような不利を受けたトーセンビクトリーは14着だったが、不利を受ける前からすでに脚色が鈍っており、距離が長かったか。それでも4コーナーでは、この血統一族特有の手応えの良さで3番手にまで上がってきていたことから、中山適性の高さは母や兄同様にトップレベルのものであることは間違いないだろう。
1枠2番 | キタサンブラック | 武 | 57 | ◎ | 2:33.6 |
2枠3番 | クイーンズリング | ルメール | 55 | △ | 2:33.8 |
5枠10番 | シュヴァルグラン | ボウマン | 57 | 2:33.8 | |
7枠14番 | スワーヴリチャード | デムーロ | 55 | 2:33.8 | |
6枠11番 | ルージュバック | 北村宏 | 55 | ○ | 2:34.0 |
4枠7番 | シャケトラ | 福永 | 57 | ▲ | 2:34.1 |
8枠16番 | サウンズオブアース | C.デムーロ | 57 | 2:34.2 | |
4枠8番 | レインボーライン | 岩田 | 57 | 2:34.3 | |
3枠6番 | サトノクロニクル | 戸崎 | 57 | 2:34.3 | |
1枠1番 | ヤマカツエース | 池添 | 57 | 2:34.4 | |
7枠13番 | ミッキークイーン | 浜中 | 55 | 2:34.5 | |
2枠4番 | ブレスジャーニー | 三浦 | 55 | 2:34.6 | |
6枠12番 | サトノクラウン | ムーア | 57 | 2:34.6 | |
3枠5番 | トーセンビクトリー | 田辺 | 55 | ☆ | 2:34.8 |
8枠15番 | カレンミロティック | 川田 | 57 | 2:35.1 | |
5枠9番 | サクラアンプルール | 蛯名 | 57 | △ | 2:35.5 |
結果:ワイド1180円的中 +680円
キタサンブラックと同じ1枠2番に入ったイスラボニータが、有馬記念前日の阪神Cで引退レースを勝利で飾った。考えてみれば、ここからすでにキタサン祭りの前夜祭は始まっていたのかもしれない。
そして、2着はキタサンブラックの鞍上武豊。今回はスタートが決まったので、去年同様に好位からの競馬ができたのが大きかった。スタートさえ決まれば強い馬なので、これまでなかなか結果を残せていないのがもったいない。ただ今、先に抜け出しながらも最後はイスラボニータに差されたのは、イスラボニータに花を持たせたのではないか。
3着にはサングレーザー。内回りの阪神1400mでは、これだけメンバーが揃えば差し切れないと思っていたが、それでも3着にしっかり追い込んできたので本当に実力があると認めざるを得ない。
4、5着はモズアスコットにビップライブリーが入ったが、重賞で実績を残してきた上位馬とは力の差があったよう。
レーヌミノルは7着。マイルCSは積極的な競馬で最後に失速して4着だっただけに、距離が短い今回は最後まで残るかと思っていたが、中団で脚を溜める消極的な競馬だった。前走ほどの調子にはなかったのかもしれないが、もっと前に付けて早めに動くような競馬をしていれば勝機があったのではないかと、不満の残る内容だった。
1枠2番 | イスラボニータ | ルメール | 57 | △ | 1:19.5 |
6枠12番 | ダンスディレクター | 武 | 57 | △ | 1:19.5 |
5枠10番 | サングレーザー | 福永 | 56 | 1:19.7 | |
4枠7番 | モズアスコット | C.デムーロ | 56 | ▲ | 1:19.9 |
5枠9番 | ビップライブリー | 大野 | 57 | 1:20.0 | |
7枠13番 | モーニン | 岩田 | 57 | 1:20.1 | |
3枠5番 | レーヌミノル | 和田 | 54 | ◎ | 1:20.1 |
1枠1番 | ムーンクレスト | 藤岡佑 | 57 | 1:20.1(同着) | |
2枠4番 | オールザゴー | 中谷 | 56 | 1:20.1(同着) | |
7枠14番 | サンライズメジャー | 池添 | 57 | 1:20.2 | |
3枠6番 | キャンベルジュニア | ムーア | 57 | ○ | 1:20.2 |
8枠17番 | シュウジ | 横山典 | 57 | 1:20.3 | |
2枠3番 | タガノブルグ | 酒井 | 57 | 1:20.4 | |
6枠11番 | アポロノシンザン | 津村 | 57 | 1:20.4 | |
8枠16番 | ミスエルテ | 川田 | 54 | 1:20.5 | |
4枠8番 | エポワス | ボウマン | 57 | 1:20.9 | |
7枠15番 | トウショウピスト | 古川 | 57 | 1:21.2 | |
8枠18番 | シャイニングレイ | 北村友 | 57 | 1:21.2 |
結果:-600円
有馬記念がキタサンブラックの独壇場なら、中山大障害は歴史に残る2頭のマッチレース。レース後に「ナリタブライアンとマヤノトップガンみたい」と言う人がいたほどの名勝負を演じたのはやはりオジュウチョウサンとアップトゥデイトの2頭だった。
オジュウチョウサンを倒すには持ち味のスタミナを存分に生かす大逃げしかないと、道中は後続を3秒以上も突き放すとんでもない大逃げに打って出たアップトゥデイト。その作戦に応えてアップトゥデイトの脚色はなかなか鈍ることなく、後続の追随を許さない。
そんな後続馬群から抜け出してきたのは、やはりオジュウチョウサンただ1頭。向こう正面で後続馬群から抜け出し、徐々にアップトゥデイトとの差を詰めていく。ゴールに近づくにつれてじわりじわりとアップトゥデイトに詰め寄る。
しかしアップトゥデイトもさすがの実力で、4コーナーでもまだその差は5馬身以上。オジュウチョウサンの鞍上石神騎手が気迫溢れるフォームで外から追いすがるも、アップトゥデイト鞍上林騎手も懸命にムチを振るう。アップトゥデイトが粘るか、オジュウチョウサンが差し切るのか。手に汗握る、熱の入った2頭のマッチレース。
直線に入るとアップトゥデイトが最後の粘りを見せ、一度は詰まりかけたオジュウチョウサンとの差がなかなか縮まらない。このまま粘り切るか。そんな雰囲気も漂ったラスト100mあたりで、最後に意地を見せたのは王者オジュウチョウサン。最後の最後に、その末脚はさらにギアを上げたかのように一気に詰め寄ると、ゴール前約15mでついにアップトゥデイトを捕らえ、最後は半馬身の差を付けてオジュウチョウサンが1着でゴール。障害重賞8連勝、J・G1を2年連続完全制覇となる4連勝という、歴史に残る大記録を打ち立てた。
また、タイムは26年破られることのなかったレコードタイムを、1秒以上も更新。
来年も現役を続けるであろうオジュウチョウサンには、今後も日本競馬史に残る障害馬として、さらに記録を積み上げていくことを期待したい。
アップトゥデイトは持ち味のスタミナを存分に発揮しての2着。オジュウチョウサンとの名勝負を演じたこの馬にも、この日の中山競馬場では大きな拍手が送られた。これほど素晴らしいレースというのは、これまで100回以上競馬場で観戦をしてきたが初めてだった。
3着にはルペールノエル。鞍上高田騎手も、前の2頭が強すぎると話したように、2着とは大差を付けられていた。それでもなんとか3着を確保し、終わってみれば去年と同じ1、2、3着の結果となった。
4枠7番 | オジュウチョウサン | 石神 | 63 | ◎ | 4:36.1 |
4枠6番 | アップトゥデイト | 林 | 63 | ○ | 4:36.2 |
8枠15番 | ルペールノエル | 高田 | 63 | △ | 4:39.4 |
3枠4番 | シンキングダンサー | 金子 | 63 | 4:39.5 | |
5枠8番 | サンレイデューク | 難波 | 63 | △ | 4:39.7 |
3枠5番 | テイエムオペラドン | 中村 | 63 | 4:39.7 | |
7枠13番 | マイネルフィエスタ | 植野 | 63 | △ | 4:39.8 |
8枠14番 | クランモンタナ | 熊沢 | 63 | 4:41.1 | |
2枠3番 | スズカプレスト | 北沢 | 63 | ▲ | 4:41.2 |
5枠9番 | ミヤジタイガ | 小坂 | 63 | 4:41.4 | |
6枠10番 | ユウキビバワンダー | 佐久間 | 63 | 4:42.5 | |
1枠1番 | ウインヤード | 大江原 | 63 | 4:44.6 | |
2枠2番 | ビコーピリラニ | 田村 | 63 | 4:44.9 | |
6枠11番 | サムライフォンテン | 高野 | 63 | 4:45.0 | |
7枠12番 | クラシックマーク | 五十嵐 | 61 | 4:48.5 |
結果:三連複680円的中 +280円