2018年12月31日

ロイヤルターフクラブ競馬(タイ)観戦記

昨年に国内24競馬場の現地観戦を達成したため、これからは海外での競馬観戦記を更新していくと去年宣言したように、今年の締めくくりとして今年新たに行った海外の競馬場の観戦記を更新します。
過去の記録はこちら。

競馬場めぐり1
競馬場めぐり2
香港国際競走&タイパ競馬(マカオ)観戦記
競馬場めぐり3
競馬場めぐり4
韓国競馬観戦記・前編
韓国競馬観戦記・後編
2017南部杯観戦記
2017浦和記念観戦記
2018高ボッチ高原観光草競馬大会観戦記

2016年の香港・マカオ、2017年の韓国と、これまで2回で5つの海外の競馬場を回ってきましたが、今回は「らしくない」内容です。というのも、1回の旅行で1カ所しか競馬場には行きませんでした。タイ、バンコクのロイヤルターフクラブ競馬場です。
地名から、ナンルーン競馬場とも呼ばれることがあるようで、これは東京競馬場を府中競馬場と呼ぶようなものでしょう。

ただ、これは「世界で最後」のロイヤルターフクラブ競馬観戦記になると思います。その意味は、この観戦した日でロイヤルターフクラブ競馬場が閉鎖になったからです。
2018年9月16日の開催をもって、ロイヤルターフクラブ競馬場は、土地の権利の関係で現在の場所での開催は終了してしまいました。
このロイヤルターフクラブ競馬場が閉鎖になるという情報は、閉鎖日の数ヶ月前から流れていたにも関わらず、全く知らずに日程を決めて計画を立て、飛行機なども予約していました。そのため、下手をすれば閉鎖後にタイに行って競馬場に行けずに終わっていたかもしれないのですが、ラッキーなことに、ちょうど予定していた日が記念すべき?最終開催日になったのです。

今までの観戦記では、今後競馬場に行く人に向けて有用な情報も書ければいいと思っていたのですが、今回はその観点では書く必要はないと思います。おそらく、すでに閉鎖してしまったということこそが最も有用な情報かと思います。
付け加えるならば、この閉鎖になったロイヤルターフクラブ競馬場が、バンコクの市街地から東に大きく離れた場所に移転して開催する計画もあるようで、今後の新たな情報が待たれるところです。
また、バンコクにはもう1つ、ロイヤルバンコクスポーツクラブ競馬場があり、こちらは現在も開催中です。これまでは2つの競馬場が毎週交互に開催していましたが、現在はロイヤルバンコクスポーツクラブ競馬場での隔週開催になっているようです。

あとは関係ないところですが、どうやらスリランカにも同名のロイヤルターフクラブ競馬場という名前の競馬場があるらしいです。

と、前置きが長くなりましたが、本題の観戦記に入ります。


今回は3連休を利用して、初めての完全な一人海外旅行。それだけでテンションが上がりっぱなし。
3連休の初日、土曜日の朝に成田空港からバンコクのドンムアン空港へ。LCCのスクートを利用してボーイング787でのフライト。15時前にドンムアン空港到着。到着して入国審査までの通路ですでに古そうな雰囲気が伝わってくる空港。さすが東南アジア(喜)、なんて思いながら、明らかに日本とは違う蒸し暑さの漂う通路を歩く。
入国審査を終えていざバスで市街地へ。本数の多い、モーチット駅に行くA1系統の空港バスを利用。このバスが30バーツ。約103円。さすが東南アジア、古いけど物価は安い。


20分ほどで到着したモーチット駅の周りには、土日限定でチャトゥチャック・ウィークエンド・マーケットという、ものすごく広い市場の営業があるのでそこで手始めにタイの雰囲気を味わうことに。
ここのマーケットは、服やらアクセサリーやらが所狭しと並んでいて、かなり値段も安い。さすが東南アジア、この雑多な感じがたまらない。ただ、安いと言ってもマーケットに売っているペットボトルの水はコンビニよりも高く、定価がある商品は場所代で高い様子。観光地価格のようなものだろう。

衛生的に、飲み物は毎回ペットボトルを買うべきと聞いていたので、水を買うべきか、でも屋台にはココナッツジュースとかもあるが、と悩みながら飲んだのが・・・・

成田空港の水

最初の一杯といえばやっぱりこれ!と、居酒屋でのビールような意味は全くないが、日本の水は安全安心。手荷物検査後の水飲み場で空のペットボトルに補給して持ち込むという貧乏人必須の技で準備しておいた水を飲んでいた。タイ人よ、これが無料で手に入る日本の安全な水だぜ!うらやましいだろ!なんて思ったわけではないが、タイで成田空港の水を飲むのは、不思議な感じがした。

マーケットで他に目を引くのは食事の屋台。ココナッツやらマンゴーやらが大量に並んだ屋台はさすが東南アジア、と早くも4回目のこのフレーズだが、それくらいテンションが上がっている。そんな中でも一番目を引いたのは・・・

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果物の屋台に紛れて、バカでかいパエリア。タイのくせになんでスペイン料理やねん!と思ったものの、タイ人だってパエリア食べたいだろう。日本人だってピザ食べたいし、香川県民だってきっとそば食べたい。
だいたい、マーケットに入って最初に遭遇したのがケバブの店だった時点で、多国籍感満載なことは薄々気がついていた。

すこし東南アジア感が薄れたところで、公衆便所に突入しようとすると、入口でオッサンに止められてしまった。いったい何かと思えば、入場料がかかるらしい。どうやらタイでは、入場料がかかる屋外の公衆便所が結構あるようだった。
さすが東南アジア(泣)、トイレで金を取るくせに、汚いし臭い。
このトイレだが、もし財布を取り出す時間すら惜しいほどの緊急事態でも、ちゃんと金を前払いしなければいけないのだろうか。せめて後払いに・・・なんて思ったりもした。ちなみに、ここの公衆便所の入場料は2バーツ。約7円だった。まあこれなら払ってやろうという程度の値段。ただ、近くにトイレがなく、我慢できなくなったらここで用を足さざるをえないので、トイレの入場料はもっと高くても商売として成り立つような気が・・・。


排泄物の話題が長くなってしまったが、マーケットではこのトイレ代だけ払って、屋台は衛生面に不安があったので見て回っただけで、モーチット駅へ戻る。腹を満たそうと駅に並んでいるスナックの屋台へ。ここなら路上の屋台より安全だろうと、タイ初の食事に選んだのは、グリーンカレー味のパイ。やはり海外に来たからにはその土地の料理を食べなければということで、選んだ一品だった。この店の写真は・・・

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タイに来て最初の食事が、世界どこでも食べられる、安心のマクドナルド。
これ、2年前の香港でも同じことをしたんだよなと思いながら、やっぱりマクドナルドは美味いから逆らえない。
この駅のマクドナルドは、屋台のような感じでパイが中心メニュー。パイナップルパイやコーンパイと、日本にはないパイが何種類もあり、それが19バーツという安さなのは、さすが東南アジア。
ちなみに、街の中のマクドナルドには、ライスメニューがあった。鶏肉を揚げた物とライスのプレートなど、我々の知るマクドナルドではなかった。しかも米料理ということは、マクドナルドで夢の健康な食生活も可能なのでは?と思うが、そんな健康的なのはマクドナルドではないと思う。健康的なマクドナルドなんて、アイデンティティーの崩壊だ。福永が内ラチ沿いを華麗に追い込んでくるようなものだ。横山典弘がポツンしなくなって全レースで完璧な騎乗をするようなものだ。


真面目な食事を求めて鉄道で移動。事前に調べておいた、ターミナル21というショッピングモールのフードコートで食事。近くにはレートの良い外貨両替屋、スーパーリッチもあるので、タイに着いたらまず行くべき場所だろう。
屋台だと衛生面の不安を感じるものの、フードコートなら衛生面で安全なうえ、安く作りたての料理を食べられる。それでいてここのフードコートは品数が多く、値段はそこらの屋台と同じ程度の安さ。あまりの素晴らしさに歓喜して、カレーなど一度に3つの料理を平らげてしまった。

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3品も立て続けに注文しに行く人が他にいるのか知らないが、タイ人に見られれば、間違いなく思われるだろう。
「こいつ、どんだけ食うてんねん」
そして、お店の人にも間違いなく思われるだろう。
「こいつ、また来たわ」
関西弁でないことは確かだが、まあこんな印象を持たれるのは嫌。
ただ、このフードコートはそういうことを気にしてしまいがちな自分でも大丈夫。店の数は20以上、座席も数百席。だから全然違う店に行き、全然違う席に座れば、誰からも気にされずに立て続けに食べることができる。
それで3店回って食べた結果、お値段なんと120バーツ以下!日本円で400円程度!
と、ジャパネット並に声を張り上げておすすめしたい、最高のフードコートだった。

ちなみに、ショッピングモールのトイレは日本にも負けず劣らずの綺麗なトイレだったので、調子に乗って食べ過ぎてしまっても大丈夫。もちろん無料。タイの電車は冷房が効きすぎなので、慣れない食後にいきなり電車に乗るとピンチに陥る可能性が高く、しかも駅にトイレが無いので、ショッピングモールなどの要所要所で腹の調子を確認することは非常に重要だった。


排泄物の話題は尽きないがこの程度にして、ホテルに泊まって翌日の日曜日。この日が、ロイヤルターフクラブ競馬場の最終開催日。

アクセスは、街中を走っている路線バスを調べて競馬場前まで直行するか、あるいはラーチャテーウィー駅から徒歩15分といったところ。だが、この日は朝から街をぶらぶらし、そのままずっと交通機関を利用することなく歩いて競馬場に向かった。今時、グーグルマップさえあれば何とかなる。
ただ、バンコクはあまり歩くべき街ではない。横断歩道がかなり少なく、道路の反対側に渡るのにかなり苦労する。交差点に横断歩道があったとしても歩行者の信号は無く、自動車の信号を見てタイミング良く適当に渡るしかない。その自動車の信号も、左折、直進、右折で複雑に分かれており、それを理解するのが難しいだけでなく、自動車がその信号をちゃんと守るとも限らない。そのため、慣れていないと渡るタイミングを見つけられない。

それでも、自動車の運転手も、信号がなくても歩行者が歩いていることを理解しているようで、思っていたよりも曲がってくる自動車がちゃんと歩行者を見て止まってくれる。
しばらく歩き続けていると、思ってしまった。茨城県で交通マナーが悪いと評判の、土浦やつくばのほうがよっぽど危険だと。
魅力度最下位の茨城県の中でも、車がないと生活できないと思い込んでいるクソ田舎でマナーの悪い土浦の車に比べると、バンコクのほうがちゃんと歩行者を見て車は止まってくれた。

と、書き出すと茨城県民への愚痴が止まらなさそうなのでこの程度にしておく。
バンコクを歩いていて食べ物の屋台以上に見かけたのは、路上での宝くじ販売。路上販売というのも、テントのような店を構えている人もいれば、持ち運べるカバンのような箱の中に宝くじを並べて、その箱を広げて売っている人もいた。カバン程度の大きさなので、別に店を構えているわけではなく、路上で座りながらや歩きながらでも売れるようなスタイル。タイの人は金銭欲が相当強いのか、ギャンブルが大好きなのか。

あとは、タイでは決まった時間になると国歌が流れるようで、その時間は全員が直立不動する風習がある様子だった。タイ王国なだけあって、国というか王様への忠誠心が強いのだろうか。
公共の場所など、スピーカーがある場所に限られるとは思うが、朝8時、大きな公園を散歩しているとスピーカーから音楽が流れてきた。公園ではランニング大会のようなものが行われていたが、そのランナーも国歌が流れると全員が走るのを止めていた。自分は何も知らずに歩いていたが、周りの人がみんな止まったのを見て止まることにしたら、近くにいたオッサンが親指を上に立てて、いいね!をくれた。FacebookやTwitterではもらうことができても、面と向かって外国人からいいね!をもらった経験は当然ながら初めてだった。ちょっと嬉しかったが、50歳くらいのオッサンの笑顔ではあまり心は満たされなかった。


さて、ようやく競馬の話に入る。
競馬場の近くに来ると、どこの国でも変わらない、安心の光景を見ることができた。

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1人1人ばらばらのオッサン達が、何かに引き寄せられるように全員同じ方向に歩いている姿である。言うまでもなく、その何かとは競馬場。そしてそのオッサン達からは、もれなく競馬場に向かうオーラが発せられている。このオーラを感じ取ることができるようになるまでには相当な長い年月を要し、日々鍛錬が必要・・・な訳ではない。日本同様に、なんとなく感じ取ることができる、あのオーラである。
オッサン達と一緒に、当然ながら自分も競馬場へと吸い込まれていった。

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1レースが12時過ぎとの情報だけを頼りに、11時頃に到着。競馬場の近くではもちろん新聞が売られている。ホームページなどがなく、馬の情報もレースの情報もないので新聞が全て。タイ語版は種類も豊富で値段も安かったが、英語版は1紙のみで100バーツ。

入場口は3つあり、会員、入場料100バーツ、入場料50バーツの3カ所。日本のようにスタンドの上のほうが値段が高いわけではなく、ゴール板に近い場所ほど値段が高く、会員エリアはゴール前、入場料100バーツだとゴール前数十メートルからゴール前100メートルあたり、といった具合にフェンスで区切られている。今回は100バーツエリアに入った。

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いざ入ってみると、日本の地方競馬場と同じような雰囲気。椅子がないものの、1階から2階にかけて屋外は全体が階段のようになっているので、皆そこに座り込んでいる。また、スタンドは5階まで自由に動き回れるので、日本では有料の指定席エリアになる高い場所にも入場料だけで入ることができる。

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見ての通りそれなりに大きなターフビジョンはあるが、画質も悪く、おそらくアナログ。レースが見えにくいだけでなく、CGなどで通過順が表示されることもないので、どの馬がどこにいるのかさっぱり分からない。また、海外ではよくあるが、帽子の色が枠順ではなく勝負服で決まるタイプだったので、帽子の色で馬を見分けることもできなかった。もちろん現地の競馬オヤジ達は、勝負服で分かるのだろう。我々が大井競馬場で赤い勝負服の的場文男を応援したりするのと同じこと。オヤジ達のために、競馬場の外では双眼鏡の貸し出しもやっていた。

また、ターフビジョンは大小の2つあるものの、映像はレース中継とオッズ表示だけで、出馬表らしきものは手作業で変える掲示板タイプのものだった。おそらく馬名やらレース結果やらがその都度手作業で変えられていたのだと思うが、なにせタイ語なので分からない。日本で手作業の表示と言えば、地方競馬のパドックでまだ見られるところが残っているくらいで、コース側に手作業の掲示板が残っているところはなかったように思う。

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変わっていることとして、パドックはない。出走馬が入場してきた後、スタート地点に向かう前に少しだけ小さい方のターフビジョン前でうろうろしているので、パドックの役割を果たしているつもりなのかもしれない。しかし、すぐにスタート地点に行ってしまうので、ほとんど見ることもできないのだが。

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1レースの発走は新聞を見ると12時25分。しかし、ターフビジョンに表示されている締切時刻のカウントダウンは、どうやら発走の10分前で0になりそうな感じだった。まあ、本当の締切時間はマカオなどと同じでゲートオープンの瞬間だろうから、表示の時間なんていい加減なもの。なんて分かってはいたものの、一応時間前に購入して、レースを待つことに。

タイのレースの事前情報として、馬がゲートに入ってから10分や20分も待つことがあると聞いていたので、10分前に一応締切にしておいて10分くらいかけてようやく発走するのか、などと思いながら観戦の1レース目。
かつての地方競馬のように、発売締切3分前が永遠に続くようなことはなく、新聞の発走時間の10分前にはきっちりターフビジョンの残り時間が0になり、徐々にゲートインが始まる。そして、およそ3分ほどで全馬がゲートに入る。新聞の発走時間までまだ5分以上ある。なるほど、こうやってゲート内で馬が待ち続けるというタイの競馬の噂は本当だったのか、と思いながら、新聞を見て時間を潰す。
それにしても、まだ発走していないのに、タイのオッサン共は熱狂的で、どんどん騒ぎ始めやがるな、なんて思っていたところ・・・

ゲートオープン、スタート。
海外では発走時間が遅れることがよくあるが、逆に予定よりも早い時間に発走してしまった。
さすがにこれは聞いたことも見たこともないわ。と呆気にとられていたものの、タイの人からすれば平常通りなのだろう。普通にレースが進み、馬がゴールを駆け抜けていき、馬券は外れた。


事情を飲み込めないまま、2レース目も同じようにスタートして、同じように馬券は外れた。

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発走時刻などはいい加減なくせに、ゴール板の上には時計がある。この写真は2レースのゴールの時のもので、12時55分と写っているが、新聞の発走時間は13時だった。

ただ、メインレースが近づけば近づくほど、ゲートに馬を入れる時間がどんどん長くなっていた。メインレースでは1頭ずつ馬をゲートに入れていくのだが、それがかなりゆっくりで、結局ゲートインだけで20分近くかかった。おかげでどんどん発走時間は遅れていき、最終レースの発走はついに新聞の時間から20分ほど遅れた。
おそらく、人が多くなるメインレースでは馬券売り場に並ぶ人が増えているので、発走時間を超えてもなかなか締め切らない。逆に1レースは人が少ないので馬券売り場に並ぶ人も少なく、さっさと締め切ってレースを始めてしまっていたのだろう。
全馬がゲートに入ってから待たされるという事前情報とは少し違って、全馬がゲートに収まるまでにかなり待たされはするものの、全馬がゲートに入ってからは30秒から1分程度でスタートが切られた。


レース中は、現地の人はスタートからゴールまでずっと大歓声。日本のように叫んでいる人もいたが、周りの人と声を合わせて応援する人も結構いた。例えるならレース後の「オグリ」コールのようなものに近い感じで、レース中の日本の競馬では見られない応援スタイルだった。と言っても競馬なので、仲間内で1頭の馬券を買ってみんなでその馬を応援していたか、たまたま買い目が一緒になったオッサン同士が意気投合したかだろう。そうでなければ、仲良く一緒の馬を応援することなんてあり得ない。それはどこの国であろうと、馬券を買う以上は同じはず。競馬場で馬券を買っているオヤジ達が純粋に1頭の馬を応援して盛り上がる訳がない。


ロイヤルターフクラブという競馬場名の通りで、レースは全て芝。スコールのある地域なので芝はぼろぼろで、1200mのレコードタイムが1分9秒台と、日本のダートよりも遅い。レース中に蹴り上げられた芝の塊が飛んでいるのがターフビジョンで見ていても分かるほど。そして、この日も途中にスコールがあり、馬場状態は急に悪化。日本の稍重から重に変更というようなレベルではなく、雨が降り続くにつれて次のレースのタイムが秒単位で遅くなったほどだった。

この日のレースは最終開催日ということもあってか、合計10レースの内、1200m、1300mが5レースずつだった。通常はほとんどが1200m戦らしい。
左回りコースで、スタートは1200mが2コーナー出口あたり、1300mは向こう正面の引き込み線からなので、日本の地方競馬くらいの大きさ。他にも、1100mと1840mの開催がまれにあるようだった。また、新馬戦は馬券の発売がないが成績としては残り、それ限定で1000mのレースもしているようだった。というのも、1000mのレースの記録が新聞の馬柱にはあるものの、そのレースでのオッズは書かれておらず、またコースレコード一覧には1000mは書かれていなかった。

この日は4から8レースが1300m。その4レース目で、ものすごく親近感を覚えてしまった。
その時のターフビジョンがこちら。

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芝の左回り、2コーナー奥の引き込み線スタート・・・。これは東京芝2000mではない。1300m戦に使われているゲートが、なんとJRAのものだった。競馬場名だけは剥がされているが、JRAのロゴやRACE COURSEの文字、ゲート番号はそのまま残されていた。
マニアックな視点で見てみると、JRAのゲートは内と外で2つ繋がっていて、スタート地点が広い東京の芝2400mコースでは、12頭入りのゲートが2つ繋がれていたりする。しかし、他のコース、他の競馬場ではたいてい、内に12頭入り、外に8頭入りのゲートが繋がれており、フルゲート18頭+外枠発走分の2枠の余裕を持たせた、合計20個の枠が用意されている。フルゲート16頭のコースでもこれが使われている。
そこからさらに狭く、フルゲートが14頭の函館競馬場の芝1000mやダート1700mなどになると、内外に8頭入りのゲートが繋がれており、フルゲート14頭+外枠発走分の2枠の余裕を持たせた、合計16の枠が用意されている。
このロイヤルターフクラブ競馬場のゲートは、内も外も8頭入りのゲート、合わせて16枠のもので、それをフルゲート15頭で使っている。しかしJRAと違うのは、外枠発走という概念がないのか、大外ではなく、最内の枠を使わずに空けている。
と、マニアックな観点で観察してはみたが、結局どの競馬場で使われていたものなのかを考えてみようにも、これ以上の考察はできなかった。そして今日でこのJRAのゲートもタイでの役目を終えると思うと寂しいものがあった。


馬券は韓国と同じ様子で、レース直前に一斉に皆が買い始める。事前に買おうと思えばできるのかもしれないが、マークシートが無いので基本的には次のレースだけを買うようなスタイルになるのだろう。そのため、例えば2レースの購入は1レースが終わってから2レース発走までの短い時間に密集するので、発売開始直後にはめちゃくちゃなオッズが見られるし、オッズは時間とともに信じられないくらい大きく変動する。

そのめちゃくちゃなオッズの最たるものがこちら。

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このオッズは、10バーツ賭けたときに返ってくる額である。つまり、15番の馬のPLACE、複勝の倍率が0.5倍になっている。ぼったくりやん・・・。
当然時間が経つと正常な1倍を超える倍率になっていった。

また、先に書いたがマークシートはなく、全て対人窓口で買うことになるので、口頭か、紙に何か書いて差し出すか、新聞を指差すかになる。今回は口頭、簡単に買えるようにと単勝(WIN)か複勝(PLACE)しか買わなかったが、タイの窓口のおばちゃんのなかでも英語のできる人とできない人が混ざっているようで、ただの数字だけなのに通じないおばちゃんもいた。そういうときには、新聞を指差して買った。
手で数字を表す方法で大丈夫かと思っていたが、15番を買おうと右手で1、左手で5を示すと、おばちゃんは6番?と聞き返してきた。確かに1+5は6なのだが。他にも、8番を買おうと、右手の3を左手の5の手のひらにくっつけるようにして示したところ、おばちゃんは3番?と聞いてきた。どうやら左手の5を完全無視されたようだった。そこは文化の違いなのか、単におばちゃんの頭がおかしかったのかは分からなかったが、3番なら左手は使わんだろうがと少しイラッとしたので、この方法は途中で諦めた。
馬連と三連単も発売していたが、買うのが面倒だったし売り上げも低かった。三連単に至っては、場内のモニターでオッズすら表示してくれなかった。

馬券を買うための予想材料としては、ちゃんとしたパドックもなく、新聞だけが頼りだったわけだが、全くの情報不足だった。
買った新聞で最初に注目したのは騎手リーディングの情報。リーディング1位の騎手は、勝率が35%で、これさえ買っておけばなんとかなりそうなもの。しかし、レースの馬柱に肝心の騎手が載っていない。リーディングジョッキーがどの馬に乗るのか分からないのだから狙いようがない。
種牡馬リーディングも載っていたが、当然ながら騎手リーディングほど高い勝率ではなく、また上位の馬の産駒は同じレースに複数出ているので狙いを絞れない。ちなみに、種牡馬リーディング1位はコールプレイという、調べたところアメリカのG3を勝った程度の馬だった。他も全く知らない種牡馬ばかりで、アメリカなどから安い馬を輸入しているのだろうか。知っていたのは、へニーヒューズ産駒がこの日1頭いただけだった。

それ以外にはこれまでの成績を見て予想するしかないのだが、それを見ても全く納得できない結果が多かった。その一例がとある馬の成績。

7月8日 クラス2 53.1キロ 1分13秒30(良) 9着 7馬身差 単勝オッズ100倍以上
8月18日 クラス2 51.3キロ 1分12秒02(良) 10着 6馬身差 単勝オッズ100倍以上
8月25日 クラス3 55.8キロ 1分19秒55(重) 11着 21馬身半差 単勝オッズ100倍以上
9月2日 クラス3 54キロ 1分13秒45(稍重) 1着 (7馬身半差) 単勝オッズ8.2倍

超人気薄で全く上位に及ばない内容が続いていたのに、いきなり単勝オッズが8.2倍になったレースで7馬身半差の圧勝。時計もなかなか優秀。八百長か、情報屋がはびこっているのか、あるいはタイ語版の新聞はかなり情報が充実していたのか。そうでもなければ理解できない成績と単勝オッズだった。こんな成績を見せられて、どうやって予想すれば良いのか、さっぱり分からなかった。


この日の馬券成績だが、タイではクレジットカードの使える店が少なく、現金の持ち合わせが少なかったこともあり馬券にあまりお金を費やすことができず、全レース1点勝負。最低金額が50バーツ、約170円からだったので、全レース50バーツずつ合計10レースの500バーツを使ったが、当たったのは1回だけ。それも複勝の2倍の馬券だったので、100バーツの払い戻しで400バーツのマイナス収支となった。マカオの全外しの悲劇が頭を何度もよぎったものの、なんとか最終前の9レースで当てることができたので最悪の事態は免れた。もしここで全外しになると、閉鎖してしまうので取り返しが付かないという、かなりの焦りを感じながら終盤は馬券を買っていた。

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そして時間は流れ、とうとう記念すべきロイヤルターフクラブ競馬場最後のレース。勝ったのは15番のParyuh。なんて読むねん・・・。

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レースが全て終わると、最終日だからなのか、主催者のようなスーツを着た人達がコースに出てきて手を振っていた。ただ、別にセレモニーのようなものはなく、普通に観客のオッサン達は帰って行ったので、一緒に自分も帰った。スタンドにはテレビ局が来ていたし、インターネットでも現地のニュースに取り上げられていたので、それなりに話題になっていたのかもしれないが、あまり最終開催感はなかった。もしかしたらアナウンサーが最後らしい実況とかをしていたのかもしれないが、やはり中野雷太や馬場鉄志の実況でないと心に響かない。タイ語は分からないので。

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そうして競馬観戦を楽しんだ後は、徒歩で帰り、この日もフードコートで夕飯。

翌日3連休の最終日の月曜日は有名な寺院などの観光地を周り、ドンムアン空港へ。
今回の旅行で誤算だったのは、現金をあまり持っておらず、またクレジットカードがあまり使えなかったこと。そして競馬で負けすぎたこと。おかげで、ぎりぎりのお金のやりくりになってしまった。
馬券が1回は当たったおかげで、最後に空港で現地のシンハービールとつまみのソーセージにありつくだけのお金は残っていたが、この最後の晩餐がセブンイレブンのイートインだったことは悲しい限り。しかも缶ビールの値段が、空港のセブンイレブンだと街のセブンイレブンより10バーツも高かったことには腹が立った。日本のセブンイレブンならそんなことないだろうに。

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そしてついに帰路へ。23時55分発というエアアジアの深夜便のおかげで、この日も一日中楽しむことができ、疲れ果てた体で成田空港へ。エアバスA330でのフライトはまさかの最後尾席で、後ろのCAの話し声がやたらとうるさくエアアジアに不満が溜まったり、トイレのドアの開閉音も気になったりしてなかなか寝付けなかったのだが、最後に飛行機から見たバンコクの夜景は、最高のごちそうだった。

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この写真、真ん中少し左下に台形の真っ暗な部分が写っているが、これがまさにロイヤルターフクラブ競馬場である。
そして写真の真ん中の一番下にも、見切れているものの真っ暗な部分がある。これがもう1つの競馬場、ロイヤルスポーツクラブ競馬場である。
見ての通り、かなり近い場所に競馬場が2つもあり、その距離はわずか4kmほど。日本でおそらく最も近い距離にあると思われる阪神競馬場と園田競馬場でも9km程度離れている。


ちなみに、翌朝8時すぎに帰国した火曜日は有給休暇を取っており、ATMで日本円をようやく入手してお金にも時間にも余裕があったので、その足で運転免許の更新に向かった。よく講習中に眠らずにいられたなと自分でも感心している。


結局、最後に手元に残っていたタイのお金はわずか35バーツ程度。もう、馬券1レースすら買えない金額だった。
公衆便所には17回行けるけど。
posted by ナイト at 16:45| Comment(0) | 競馬観戦記 | 更新情報をチェックする
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