2021年01月01日

アボンデール競馬(ニュージーランド)観戦記

2020年の海外競馬観戦記です。

世界は今や、コロナで海外旅行なんてできる状態ではありません。北半球の競馬がにぎやかになるドバイワールドカップ以降の時期は、普通の日本人が海外旅行するのはかなり厳しい情勢でした。しかし、2020年も海外競馬を観戦することができたのです。1、2週間でもズレていれば入国禁止となっていたため予定がすべて崩れ去っていたところでしたが、そのギリギリのタイミングで奇跡的に海外競馬を観戦することができました。

今まではアジアばかりの観戦記でしたが、今回はついにアジアを飛び出し、しかも赤道も越えて人生初の南半球。ニュージーランドです。
ニュージーランドの中心部、オークランドで行われる最大級のレース、オークランドCが3月7日にあり、さらに同じオークランドにあるもう1つの競馬場の開催が前日の6日にあるという、絶好の競馬観戦週。さらに南半球の夏の間は、関西空港からオークランドへ直行便もあり、ここしかないというスケジュールで行ってきました。


出発は3月4日の水曜日。深夜便で関西空港からニュージーランド航空で出発。アジアの競馬観戦の時は常にLCCの格安航空券で行っていたが、今回はニュージーランドまでとなればLCCだと乗り継ぎが必要。ということで、ニュージーランド航空という、機内サービスの整った航空会社を奮発して利用。ANAとの共同運航なので、日本語の案内も十分で、乗客も日本人のほうが多かったくらい。

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機種はボーイング777-200。エコノミークラスでも、LCCより座席が広く、深夜便でもゆったりと寝ながら移動ができた。これなら、今後は多少お金がかかってもLCCを使わないで、ちゃんとした航空会社を利用しようと、これまでの考えを改めるほどに快適だった。
そして、何気に人生初の機内食を食べることもでき、これまでと違って大満足のフライト。10時間以上のフライトでも、映画を見たりして時間を潰し満足し、翌木曜日の昼、ニュージーランド、オークランド国際空港に降り立った。


3月ということで、南半球のニュージーランドは日本でいう9月になるが、それほど暑くなく、服装に困らない天候。夏でも日本のような猛暑にはならないようで、非常に快適。
この日はひたすら観光。博物館や、オークランドの街のシンボル、スカイタワーに登ったりと散策。

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そして、街中のホテルに宿泊。安い宿を探したものの、共同部屋のゲストハウスのようなところを避けると1泊4000円程度だったので、物価は日本とあまり変わらないか、少し高い。

ニュージーランドは街がキレイだし、衛生面もしっかりしており、水道水が飲める。汚い水だと、シャワーが口に入ったりしても気になるのだが、そんな心配がいらないので安心して過ごすことができる。実際に肉体的な影響が出るかは分からないが、不安がないので精神的に疲れないのは嬉しい。
また、人もそこまで多くないので、歩いて快適に動き回ることができる。ただ、日本と同じように地震の多い火山帯に位置する島国で、日本以上に起伏は激しく、歩くのに体力のいる登り坂が市街地にある。関東平野のような平地に都市を作った日本とは違って、おそらく低地の平野がない国土なので、港を中心に、すぐそばの山の斜面を街として広げていったのではないかと推測している。
と、オークランドの博物館に行ったのに、そういった知識を得ずに帰ってきて、書いていることが単なる推測。まあ原住民のマオリ族の衣装やらを見て、それなりに雰囲気を味わえたのでそれで満足した。


翌金曜日の昼に競馬場へ。この日は、オークランドのアボンデール競馬場の開催日。この日が記念すべき、アジア以外の競馬場での初観戦。
このアボンデール競馬場は、街外れの郊外にある競馬場。市街地から車で15分程度のところにある。電車も近くに通っており、不便なくアクセスできる。ただ今回は現地の友人の車を利用したため、アクセスの詳細は省くことにする。

このアボンデール競馬場だが、アジアの競馬では考えられない、ヨーロッパやオセアニアの馬産地らしさのある競馬場で、雰囲気としては田舎の牧場に近い。まず入場料なんてものはないし、新聞も売っていない。そもそも入場ゲートのようなものがなく、ロードサイドの店に入るかのような感覚で、道路からそのまま車で勝手に競馬場の駐車場に入っていけるし、そこからの区切りもなくパドックを見に行ける。周りから見てもこれといった競馬場の目印もない。
じゃあ馬券は売っているのかと言うと、それは売っていた。

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日本の競馬場をイメージしていると、これが何の写真か理解に苦しむかもしれない。これがアボンデール競馬場の馬券売り場だ。

臨時の窓口?スタンドから離れた別の建物?
違う。馬券売り場はここだけ。開いていた窓口は3つだった。窓口の上には4つのモニター。ここに他場も含めたオッズが表示されている。
逆に言えば、ここでしかオッズを確認することもできない。

もちろん、馬券を買う時は口頭で伝える。
生粋の英語圏なので、数字さえちゃんと発音できれば何とかなる。教育を受けたことがあるのかないのか分からないようなオバチャンが窓口にいるタイやマレーシアとは違うので非常に助かる。

馬券売り場の右側に、柵が付いているが、これは日本の馬券売り場にあるような、操作に困ったらオバチャンが出てくるための窓、ではない。この向こうが装鞍所になっていて、レース前の馬の様子を覗き見ることができる。
つまり、馬券売り場の裏が装鞍所という、珍しい立地の競馬場だった。

なんでそんなところに馬券売り場があるのかだが、残念なことにこのアボンデール競馬場にはスタンド内というものが存在しない。なので、馬券売り場は別に設けようとして、ちょうど区切りのスペースとしても使える装鞍所の前に作ったのではないだろうか。完全に想像だが。

誤解を招かないように言っておくと、「スタンド内」が存在しないだけで、スタンドは存在している。しかし、座って見るための椅子が並んでいるだけで、中に入ることはできないのだ。
一般の観客がレースを見るために使うスタンド席は、コース側から見るとこのありさま。

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古い競馬場で、休止していた期間もあったようで、スタンドの整備はあきらめてしまっているのかもしれない。

ただ、この競馬場も関係者と一般客のスタンドが分けられたタイプの競馬場で、ゴール前の関係者席のスタンドは稼働しているようだった。
ガラス張りの空間の中に人がいたので、おそらく冷暖房完備のちゃんとしたスタンドなのだろう。こんな何もない競馬場でも、馬主と一般人の格差は存在する。

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スタンドの裏手に戻ろう。
先ほど書いた馬券売り場はスタンドの裏手にあって、それを正面に見て左側に駐車場や車の出入り口があり、右側がパドックや関係者の駐車場になっている。
つまり、関係者スタンドの裏手がパドック。一般客スタンドの裏手が普通の駐車場となっている。これだけ粗末な競馬場だというのに、関係者がレース前の馬の様子を眺めて、一般客は馬券を買うという、競馬場の導線をきっちり把握し、ニーズに応えた作りになっているのはたまたまなのだろうか・・・。

ちなみに、スタンドの裏手は特に関係者と一般人の区別はない。なので、外のスタンドでレースを見ている一般人の人数と、パドックを見ている人数が一致しない違和感があった。なんかパドック側だけ人が多いし、スーツを着たピシっとした人が多いなと思ったが、おそらく馬主達だったのだろう。
競馬場と言えば、そこらへんにいるのは馬券を買いに来ているオッサンのイメージだが、この田舎の競馬場ではむしろ馬券を買いに来ている人は少数派で、ほとんどが関係者。関係者席の方は分からないが、一般席の観客はせいぜい10人くらいだった。そうなると、馬券を買いに来ている、しかも日本人というのは明らかに浮いた存在に見えただろう。


スタンドの裏手側からスタンドを見るとこんな感じ。

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裏から見ているので、右側にあるのが一般客のスタンド、渡り廊下みたいにつながって左側にある小さめなのが関係者のスタンド。一般客スタンドの中には入れないので、渡り廊下は当然通行できないのだが、その下を通り抜けることでコース側に出ることができる。

目の前にあるのは、パドックのような使われていない場所。その左側の青い屋根の建物が馬券売り場だ。
こうして馬券売り場を横から見ると、屋根がついてたくさん窓口があるようにも見える。今は正面側の3か所しか開いていないが、昔はこの側面の窓口も全部使われていて、賑わっていたのかもしれない。

左側の青い屋根の建物の奥がパドック。さて、そのパドックはなかなか驚いた。今までの経験からも、海外競馬の中継などを見ても、パドックと言えば列をなしてぐるぐると回るもの。ここもそんな感じ、にも見える。

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しかし、実際の姿はこっち。

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各々が、好きなところを好きなように回っている。普通のパドックのように、ぐるぐる大きく回っている馬もいれば、パドックの中を小さく回っている馬もいる。なかなかに自由なパドックで、騎手の騎乗のタイミングみたいなものもよく分からんが気が付いたら出てきて乗っていた。


コース側の話を。

スタンド裏手でこれだけ何もない競馬場なのだから、当然コース側にも何もない。だだっ広い芝コースがあるだけ。
ただ、スタンドも馬券売り場も古い感じなのに、違和感のある新しいオブジェがあった。

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パドックからコースに向かう道にある、謎のゲート。そしてゴール板に付けられた、蹄鉄の形をした飾り。無機質な造りの建物が目立つアボンデール競馬場の中で、明らかにこの2つだけ、作られた時期やデザインの趣が違う、色鮮やかな浮いた存在だった。
しかし、よく考えてみれば、ゴール板の蹄鉄の形をした飾りは、日本と上下が逆じゃないか?この蹄鉄の隙間のことを何というのか分からないので、他の表現で例えると、ニュージーランドは視力検査のランドルト環で「上」が正解だが、日本の競馬場はどこも視力検査のランドルト環で「下」の向きに付けられている。まさか北半球と南半球で逆転しているわけでもあるまいが。
うん、ランドルト環って言いたかったから言っただけだった。

出走馬はパドックを出て、スタンドの横を通り、コース側に来て、このゲートをくぐって馬場へと入場していく。

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さて、ここでいきなりだが、この2つの写真の騎手を見て何か感じないだろうか。
これ、1枚目はJRAから長期間ニュージーランド遠征していた小崎騎手。
そして2枚目は、現地で騎乗を続ける橋詰騎手。
2人の日本人が、この日は騎乗していた。そして、橋爪騎手は第3レースで勝利を挙げていた。

個人的な印象だが、小崎騎手の顔が、
「お!?こんな田舎の競馬場に日本人来てるやん」
という驚き顔をしているように見える。

こんな田舎の競馬場なので、普段は日本でも、日本人騎手が出ている海外の競馬でもしたことがないものの、
「頑張ってください」
と声をかけてみた。
また、後の話になるが、レースが終わって小崎騎手が競馬場から帰る時に、普通に関係者スタンド裏側から出てきて、パドックのあたりで再び会うことができた。


さて、コース側についてだが、これだけのんびりとしていて何もない競馬場、書くことがない。そして人もいない。
ただ、こんなにのんびりと競馬場でレースを眺められるというのは、日本では味わえない経験だった。レース中はヤジも歓声もないのだから、馬の走る様子を晴天の下で眺めるという、ピクニックというのがぴったりな表現に感じる。

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ここで少し話を戻すが、馬券売り場のモニターのところで、「ここでしかオッズを確認することができない」と書いた。
しかし、コース側の写真を見ると、海外の競馬場によくある、馬番と単勝、複勝オッズだけが並んだ掲示板のようなものが写っている。それでは、最初に書いたことは嘘だったのか。いやいや、嘘なんて言っていない。この掲示板の写真をよく見てみよう。

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1から50までの数字が並んでいるだけだった。しかし、なんか微妙に理解できない規則性で並んでいた。


コースの話に戻す。
レースは芝の右回り。1200mや1800mなど、主要な距離のレースがあり、また直線も450mと長い。
また、なぜか分からないがレースは全て10頭以下の少頭数だった。オークランドの近くなので出走馬が集まらないことはないと思うし、コースの幅もそこまで狭いとは感じなかったので、平日で賞金が安いからとかなのかもしれない。

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ターフビジョンなんてないが、何しろこれだけ周りに何もない競馬場。向こう正面も肉眼で見える。アジアのゴミゴミした街とは違って、街のすぐそばでもマンションは少なく平屋の住宅が並んでいるような国なので、高い建物がなく視界を遮るものがない。やはり気分はピクニックで、草原が広がり羊を放牧している勝手なイメージが強いニュージーランドにぴったりな雰囲気だった。

あと、あまりにのんびりした雰囲気過ぎて、レース中もずっとハトがコース内にいて、馬が近づいてきたら飛んで行ったりするのだから、本当に競馬場というより公園か何かに来ている感じだった。

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さて、馬券の話。
2レースから参戦して7レースまで、1レースに1NZドルの合計6NZドルを使って、6レースの単勝だけ的中した。結果は4.2NZドルの払い戻し。
写真の馬券は2NZドル使っているが、これは一緒に行った友人と馬券を共有していたから。

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レースが終わってからは車で帰るだけ。京都競馬場のような競馬場から出る時の渋滞なんてあるはずもなく、街に戻り、ご飯を食べ、ホテルに戻った。

日本のどの地方競馬場よりもおそらく観客が少なかったものの、ニュージーランドらしい広々とした自然を感じられる環境で、しかもスーツを着た人に包まれての競馬という、今までにない経験ができた。
また行きたい、と思えるほど引き付けられる特徴や魅力はないものの、日本では味わえない穏やかな環境での競馬、ゆったりとした時間の流れを感じられる競馬場だった。


相変わらず、無駄な話を含めて記事が長くなったので、翌日の話はまた次回に。
posted by ナイト at 11:49| Comment(0) | 競馬観戦記 | 更新情報をチェックする
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