2021年01月02日

エラズリー競馬(ニュージーランド)観戦記

アボンデール競馬場に行った次の日、3月7日土曜日。この日はオークランドCの開催日。
このオークランドCは、芝3200mのG1。「地名+カップ」というレース名、距離の共通点から、オーストラリアのメルボルンCを感じさせる。
ところで、海外は土曜日にビッグレースがあることが多いのはなぜだろうか。ドバイもだし。おかげで日曜に帰るというスケジュールが組みやすくて助かるが。

エラズリー競馬場へは、オークランド中心部のブリトマート駅から鉄道で15分ほど。
まずこのブリトマート駅に着いた時点で、海外の駅に来た雰囲気を味わえて最高。エスカレーターを降りると、終着駅特有の、建物の中に列車がずらりと並んで最後尾が見渡せる光景が広がる。

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普通に切符を買って乗車。エラズリー競馬場最寄りはグリーンレーン駅。

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オークランド駅とは違って、グリーンレーン駅は改札がなく、狭いホームからの出口は1か所。橋の上に登ったところが出口。その出口には競馬場の方向を示した案内板があるので、それに従って、出口を出て右に。鉄道と並走している道路をくぐったり乗り越えたりする高架の狭い歩道を通っていくと、広い道路にたどり着く。
広い道路の右手にはよくわからない大きな建物。Googleマップを見ると病院やホテルのようで、その奥が駐車場。その駐車場を前に進むと競馬場の方向だったので、入っていいのか分からない駐車場に侵入し、競馬場の方向へ進んでいくことに。
すると、案内は無いが競馬場に着いた。駅から歩いて10分もかからない。

駐車場が、病院の駐車場なのか、競馬場の駐車場なのかよく分からなかったが、この駐車場の端っこからは、かなりいい眺めでレースを観戦できそう。レースをこの角度で見ることはなかなかないので、最初か最後のレースはここから見るのも面白かったかもしれない。

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日本でこの位置から見れる競馬場はあるだろうか。地元民なら当たり前で見ている人もいるかもしれないが、あったとしてもこんなにコースに近くはないだろう。

駅から競馬場のアクセスの説明があいまいな感じになってしまったが、この駐車場を突っ切るのが早いことは間違いないと思う。ただ、駐車場のほうに入り込まず、広い道路をまっすぐ進んでいけば、途中で右手に入るエラズリー競馬場通りみたいな道があって競馬場の入場ゲートの正面付近につながっている。なので、ちゃんと歩道も整備されている。
実際にこの道に気が付いたのは帰り道だった。


さて、競馬場に入って行こう。
入場口は何か所かあったようだが、駅から歩いて来た場合、駐車場を抜けて1コーナー側のスタンド裏手の入場口にたどり着くだろうし、入場するまではここしか気が付かなかった。

入場券は事前にネットでチケットを買っておくシステムなので、券売機や窓口のようなものはなく、入場の時は手荷物検査だけ。
この日は、オークランドの競馬でおそらく最も盛り上がる日ということで、入場料が20NZドル、約1400円もして高い。凱旋門賞やらブリーダーズCはもっと高いらしいので、世界のビッグイベントと比べると安い方だが、日本の200円と比べると高く感じてしまう。まあ、日本の場合は馬券の売り上げが圧倒的に多いので、ビジネスのやり方が全然違うのだろう。日本も、人が多すぎてしんどいのでG1の日はもうちょっと値上げしてもいいと思うが、そうするとWINSが大変なことになりそう。

競馬場に入ると、ビッグレースの日ということと、ヨーロッパらしく社交の場という感じで、いろんなイベントをやっていた。スタンドの裏側では、プレゼントの当たるダーツだったり、馬車に乗ってスタンドを回ったり、子供も遊べるようなもの。馬場側はビアガーデンのような屋外パーティー席になっており、一般席のチケットだけでは入ることができない。
そのパーティー席のステージでは、ビールをきれいに入れるパフォーマンスみたいなことをやっていたりして、とりあえず昼から宴会をするための競馬場という感じに色んな所がセッティングされており、盛り上がっていた。

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この写真は通路から撮ったものだが、こういった特別席やステージがスタンドとコースの間に設置されているおかげで、一般席のチケットしか持っていないとラチ沿いの前方にはほとんど行けず、前に行けるのはゴール板から離れた4コーナー側だけ。このステージは芝生の地面に設置されているので、もし普通の日に行けば芝生のスタンド前で座りながらレースを見ることができるのだろう。
とは言っても、スタンドの屋外席は好きに動けて椅子もそこそこ空いていたので、人が多すぎて窮屈なわけでもなく、日本のように立ち見になることもなかった。

少し思ったのは、もしかしたら本当に屋外の駐車場の方がいい席だったのかもしれないということ。
そして、こういうパーティー的な雰囲気を傍目で見て味わうことはできたものの、せっかくなら高い入場料を払ってこの中に入ったほうが楽しめたなと思ってはいる。


雰囲気があるのは、普通の売店も。

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メニューと値段が書いているボードだが、メニューのところが「The Draw」=出馬表、値段が「Odds」=配当と洒落たことをやっている。
JRAの場合、天下りの関係かなんか分からんが、競馬場にしか存在しないうえにどこの競馬場でも一律の売店ばかりで、何の面白みもない。わざわざあんな高いところで金払って買う気も出んし。せめて何か競馬の雰囲気を味わえる売店のデザインとかにしてくれればいいものを。駿馬茶とかどうでもいいオリジナルグッズ作るより、そっちの方が流行りのインスタ映えも狙えるかもしれんのに。いや、どうあがいても競馬場とインスタ映えは対極の位置にある気がするな・・・。むしろ、園田競馬とか浦和競馬の売店の方が、昭和レトロとかよく分からん理由で注目されるかも。


スタンドの中も有料席が多く、一番安い入場券では1階にしか入れなかった。
この1階部分には馬券売り場と売店があり日本とあまり変わらない構図だったが、売店が日本より広く、馬券を売ることが中心の日本と、社交が中心のニュージーランドで、どちらに重点を置いているかが見て取れた。
馬券を目的にした庶民エリアでその構図なのだから、競馬場全体ではやはり社交目的の人が圧倒的に多いだろう。そういえば、ペアやグループで来ている人が多く、1人で競馬場に来ている人というのはあまり見かけなかった。

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あと驚いたのは、売店の店員にAyakaという名札をつけた人がいた。見た目も日本人っぽかったので、現地の日本人女性だったのだろう。


それでは馬のいるところを見ていこう。
と言いつつ、まずはスタンド裏手の奥のほう。このエラズリー競馬場は、一般席だとスタンド周りはほとんど行動が制限されるのだが、裏手は誰でも見て回れるしやけに広い。奥のほうへと歩いて行くと、そこには装鞍所やパドックに行く前の馬が周回しているよく分からないスペースがあった。

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こういうところが、馬産地で馬と人の距離が近い国ならではの風景なのだろう。
しかし、パドック前の馬が周回する場所って、この場所の名前も分からんし、なんでわざわざ一般客に見える位置にあるのかも分からんし、もはやパドックでええやん、と思いたくなるスペースだったが、これもヨーロッパスタイルなのだろうか。日本にこんなスペースがあったらヤジの温床だろう。
また、馬を引いているのが女性で、騎手もそうだが女性関係者が多いのも日本との大きな違いだと感じた。


ここから各馬パドックへ出ていく。パドックはヨーロッパの中継などで見るような風景。パドックの中に木が植えられたりして、自然を残した環境の中を歩く。日本の、完全に舗装された路面を歩いて檻の中に入れられたようなパドックとは違って、自然の中を馬がノビノビ歩いている感じがするし、馬を引く人たちはスーツを着飾っているしで、正直レースよりもこのパドックの風景を見た時に、凱旋門賞などの中継で見る風景を思い出すことができてテンションが上がった。

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自然のあるパドックと言えば、日本では京都競馬場の真ん中にある木が有名だったと思うが、改修工事で無くなってしまうらしい。


パドックが終わると、2つのスタンドの間を通ってコース側に出ていく。
スタンドが2つというのは、この海外競馬観戦記ではおなじみになりつつあるが、ゴールに近い関係者スタンドと、そこよりも4コーナー側にある一般客スタンドのこと。
アボンデール競馬場同様、スタンドの間を通って行くのも、馬と人との距離が近く、自然と共生している国の雰囲気が味わえる。スタンドの端を通ったりスタンドの地下を潜ったりして、馬券中心の客と別の空間を歩くよう設計された日本とは大きな違いだ。

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パドックを出てからスタンドの間を通るまでのスタンドの裏手の短い距離では、客の通路を横切ることになる。そのタイミングでは、一時的に客の通路が封鎖される。そういえば、シンガポールのクランジ競馬場も同じようなことをやっていた。

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続いて、コース側。レースの写真を。

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街に近い、ニュージーランドで最大級のレースをする競馬場というだけあって、ターフビジョンもあるし、色んなスポンサー広告が付いている。その中でも目立ったのは、街中でも多く見られたvodafoneの広告。日本では撤退してしまったが、イギリス本社の企業で、ニュージーランドでも事業を展開しており、シェアは50%程度とニュージーランド最大の携帯電話会社らしい。

そして、向こう正面にはアボンデール競馬場の時よりは少し高い建物も見えるが、やはり自然に囲まれた綺麗な環境で、競馬が行われていた。


この日は全部で10レース。1レース目が12時45分の発走で最終レースは18時14分過ぎ。レース間隔は35分か40分だったのに、なぜか最終レースだけは39分と、キリの悪い時間になっていた。
メインのオークランドCが9レース目に組まれているのに加えて、6、7レース目にもG1競走が行われた。
コースはもちろん芝だけで、右回り。1200m、1600mあたりが主流だったものの、1400mや2000m、さらには2100mなんて距離のレースもあり、メインのオークランドCは3200m。色んな距離のレース設定があった。

また、芝の種類が洋芝なのか分からないが、なかなか早い時計の出る芝だった。1600mでは1分32秒08というレコードタイムが記録されたこともあるらしい。
ただ、この日はそこまでの早い時計のレースは見られなかった。馬場状態は良かったかもしれないが、ニュージーランドのレースはペースが特殊なので、レコードはなかなか出にくいのではと感じた。
というのも、とにかくスローペース。顕著だったのは6レース目のシステマSという、2歳の芝1200mのG1。勝ち時計は1分10秒46と、高速馬場には思えない。ただレースの上がりが33秒56。つまり前半3ハロンが36秒90なのだから、1200mとは考えられない超スローペース。日本だと、こんなペースで逃げ切りなんかを許してしまえば、控えた騎手はファンにぼろクソに言われるだろうに。
メインのオークランドCも、3200mの勝ち時計は3分19秒96で天皇賞春と比較すればかなり遅いのだが、上がり3ハロンは35秒73とまずまず。
お隣のオーストラリアがどうかは分からないが、ニュージーランドから香港や日本に遠征する馬がいて予想する時には、スローペースで活躍してきた馬だということを考慮したほうがいいかもしれない。逆に日本から遠征する場合は、スローペースの適性がある馬が活躍できる可能性があることになるだろう。
そんなスローペースなので、極端な追い込みが決まるわけではないのは、レース予想のうえでのポイントになりそう。かと言って、ヨーロッパの競馬は逃げ馬はペースメーカー的な存在だったりもして、そもそも強い馬が逃げることが少なく、逃げ切り自体は少なかったりもする。


メインレースのオークランドCは、もちろん知っている馬などおらず、予想のしようがないレースだった。しかも、17頭立て、3200mのG1なんて、当てられるわけもない。
この時に勝ったのはロジャーザットという地元の馬だった。驚いたことに、この父が日本の短距離で活躍したシンコウキング。日本の1200mで活躍していた馬の仔が、ニュージーランドの3200mのG1を勝つのだから驚くしかなかった。しかも、17頭立ての17番枠で、3200mのような長距離レースの経験もない馬だから買えるはずもなかった。

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馬券の話に移る。
この競馬場で目標としていたのが、4連単を当てるということ。香港では4連複を当て損ねたのになぜより難しい4連単なのかというと、単純に4連複の発売がないから。3連複もなく3連単は発売していたりと、3連単の導入が遅かった日本からすれば違和感はある。他には3重勝や4重勝の発売もあった。
4連単となるといくら金をつぎ込むのか・・・と思われるかもしれないが、そういうところには多点買い向けの馬券が用意されているのはありがたい。

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これ、掛け金は5NZドル、約350円で買い目は78点。1着が1、2、3、4番。2着と3着が1、2、3、4、5番。4着が2、3、4、5番のフォーメーション馬券。1点当たりは5÷78NZドル、約4.5円という馬券になった。もちろん、こんな複雑な買い目をするので、馬券はマークシートで買える。ただ、マークシートに書いて窓口で人に手渡す方式なので、別にマークシートを使わず口頭で買い目を伝えても大丈夫かもしれない。

この買い目自体は、単純にレースの予想として考えると訳が分からないかもしれない。1番を1、2、3着に入れて4着には入れていないにも関わらず、1番が来ないパターンも買い目に入っている。
こんな買い目になった理由は、この多点買い馬券のルールが、掛け金が5NZドル以上、買い目が50通り以上なので、無理やり50点以上の買い目を作らざるを得なかったのだ。そのため、買いたくない買い目を含んだ78点買いなんかをしたのだった。確かめていないが、多分100点買いとかもできて、さらに低レートの馬券も楽しむことができるはず。

実際に買いたかったのは1番を1着から3着に入れて4着には入れないマルチのようなもので、残りに2、3、4、5の4頭という買い方だったのだが、そうすると36点になって多点買い馬券を買うことができず、36NZドル、約2520円つぎ込む必要があったので、そんな馬券は買わなかった。

話を置いてけぼりにしている可能性はあるが、真剣にこの買い目を追いかけてくれている人のために、さらに追加で説明しよう。こんなニュージーランドの初めての競馬で、4連単を当てようとする多点買いのチャンスで、5頭に絞っていることに違和感を覚えたりしないだろうか?
実はこのレース、先ほど書いたシステマSという2歳の1200mG1戦だが、ありがたいことに8頭立て。しかも、ある程度これまでのレース実績から力関係がはっきりしているようなメンバー構成で、これこそ4連単を当ててくれというようなレース。そして1番を軸にしただけあって、この馬は前哨戦でしっかり結果を残している、抜けて強い馬だった。

さて、その4連単馬券の結果は・・・

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1-4-5-3の4連単、見事に的中。払い戻しは63.7倍。って、78点買いだからトリガミ!
50点以上の買い目の制約があって無駄に買い目を増やしたせいでガミってしまった。1、3、4、2番人気の決着で、単勝は1.7倍だし、馬連も3.1倍とガチガチ。2番人気が沈んでくれたものの、これが来ていたら4連単はもっと悲惨な配当だったかもしれない。

馬券のトータルは、他に単勝1レース的中し、26NZドル使って17.6NZドルの払い戻し。


ちなみにこのシステマSのシステマというのは、日本だと歯磨き粉が頭に思い浮かぶが、それとは違ってニュージーランドの保存容器の製造メーカーらしく、さっきのレーシングプログラムに載っている写真広告のような製品を作っているらしい。レース名に企業名が付いているのは、日本の「朝日杯」や「京王杯」みたいなのが近いだろうか。新聞社やら競馬場沿線の鉄道会社とは違って、普通の日用品のメーカーがスポンサーについているのは日本では見られないことなので、ここでも競馬が文化として根付いて受け入れられていると感じた。日本でも将来、「ニトリS」やら「旭化成C」みたいなものが行われることはあるのだろうか。


最後にもう1つ、メインレースのオークランドC後の、最終レースのパドックの写真。

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前日のアボンデール競馬場に続いて、このエラズリー競馬場でも騎乗していた、JRAの小崎騎手。
騎乗はこの1鞍だけで、決してニュージーランドで活躍できているとは言えず、このレースも結果は10着だった。ただ、オークランドCの日、日本で言えばジャパンCの日にその競馬場で騎乗できるというだけで、その存在をニュージーランドでアピールできていたのかもしれない。


最終レースが終わると歩いてグリーンレーン駅に戻り、列車でオークランドへ帰った。ほとんどの人が車で来ていたのか、駅は全く混雑していなかった。


翌日、3月8日の日曜日に帰国。帰りも変わらずニュージーランド航空、ボーイング777-200で関西空港へ。
最後に、競馬場の次に楽しみにしていたと言っても過言ではない、オークランド国際空港のニュージーランド航空ラウンジで朝食を食べてから、飛行機に乗って帰った。

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朝早かったせいで食事メニューが少なかったが、ニュージーランド航空はワインに力を入れているようで、機内もラウンジもワインをかなり揃えていたのが印象的だった。普段はワインは飲まないが、こういう環境ならいくらでも飲める気がして、機内でも色々飲んで存分に楽しんだ。


さて、以上が2020年のニュージーランド競馬観戦記でした。

今思えばコロナで渡航制限がかかる直前の奇跡的なタイミングで、無事に海外に行けて本当に良かったと安堵しています。
しかし、今のコロナの状態では今後の海外競馬観戦については考えることができません。あとは、個人的な生活が様変わりすることも考えられるので、これが最後の海外競馬観戦になってしまうかもしれないと、不安な思いもしています。
色んな所に行きたい気持ちに変わりはなく、初めて行った競馬場があれば観戦記は更新するつもりですが、次はいつになることやら・・・。
おそらく2021年の海外競馬観戦は無理だと思っています。となると次に更新する観戦記は、国内、2022年に移転する名古屋競馬場になるのではと想定しています。

後ろ向きなコメントになりましたが、また観戦記を更新できることを願いながら、終了にします。
posted by ナイト at 14:46| Comment(0) | 競馬観戦記 | 更新情報をチェックする
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