例年のような末脚勝負ではなく、前半3ハロンが33秒台のハイペースの持久力戦に。
この早い流れで逃げたのはファンタジーSを勝ってきたレシステンシアで、距離が延びた今回もその勢いは止まらず、直線で後続を突き放すと5馬身差の圧勝。逃げてメンバー最速の上がりという、手の付けようのない内容で、無敗のG1馬となった。
ダイワメジャー産駒で阪神マイルG1、牝馬、先行力と言えばメジャーエンブレムやレーヌミノルを思い出すが、今回はレコード勝ちの圧勝で余りの強さに正直なところ動揺している。
2着にマルターズディオサ。今回は出遅れることもなく好位からレースを進めた。
上位人気馬が、スローペースからの強烈な末脚を武器に勝ち上がってきた馬だったが、まさかのハイペースの持久力戦となったことで、求められる能力が予想とは全く違うものになったレースだった。その展開を得意としていたのが1、2着馬だったのだろう。
3、4着にその人気馬クラヴァシュドールとウーマンズハート。クラヴァシュドールは中団追走から伸びてきた。ただ、直線に向いてからは外から突き抜けるような勢いだったが、マルターズディオサと並んだあたりでその勢いは止まってしまい、マルターズディオサさえ交わせなかった。一瞬しか脚を使えないタイプかもしれない。ウーマンズハートはこれまで極端なスローペースしか走ってこなかったので、経験の差か、あるいは化けの皮が剥がれたか。
リアアメリアは気性の問題か、伸びを欠き6着。成長途中で不安を残したまま3歳牝馬クラシックに向かうことになりそう。
2枠4番 | レシステンシア | 北村友 | 54 |
| 1:32.7
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5枠9番 | マルターズディオサ | 田辺 | 54 |
| 1:33.5
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5枠10番 | クラヴァシュドール | 藤岡佑 | 54 | ▲
| 1:33.5
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2枠3番 | ウーマンズハート | ビュイック | 54 | ○
| 1:33.9
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1枠1番 | ヤマカツマーメイド | 武 | 54 |
| 1:33.9
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8枠15番 | リアアメリア | 川田 | 54 | ◎
| 1:34.2
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1枠2番 | カワキタアジン | 鮫島克 | 54 |
| 1:34.3
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3枠6番 | クリスティ | 福永 | 54 | △
| 1:34.3
|
7枠13番 | ジェラペッシュ | 幸 | 54 |
| 1:34.6
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3枠5番 | ボンボヤージ | 岩田望 | 54 |
| 1:35.3
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4枠8番 | オータムレッド | 松山 | 54 |
| 1:35.4
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4枠7番 | ロータスランド | 藤岡康 | 54 |
| 1:35.4
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6枠12番 | ヒメサマ | 川須 | 54 |
| 1:36.4
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7枠14番 | スウィートメリナ | 和田 | 54 |
| 1:36.5
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8枠16番 | エレナアヴァンティ | 岩田康 | 54 |
| 1:36.6
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6枠11番 | ルーチェデラヴィタ | 池添 | 54 |
| 1:37.8
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結果:-500円
58キロの斤量も関係なし。コパノキッキングが2馬身半差の完勝でこのレース連覇。藤田菜々子は初のJRA重賞制覇を決めた。
レースはハイペースになり、2着は差してきたテーオージーニアス。3着は無理に先手争いに加わらず好位に控えたシュウジ。春にこのコースで勝っているように、芝スタートの中山は合うのだろう。
ゴールドクイーンが逃げて、レッドアネラ、ヒロシゲゴールドと続いたが、前半3ハロンが32秒9のハイペースでは3頭とも最後に失速してしまった。ただ、前の日の雨が少しは残っていたおかげか、このハイペースでも3頭とも大崩れはせず、ゴールドクイーンが5着、レッドアネラが4着、ヒロシゲゴールドが6着と粘った。斤量差を考えると、やはりゴールドクイーンのしぶとさは評価すべきだろう。
末脚に期待していたドリュウはメンバー最速の上がりを使ったが8着。道中の位置取りが後ろ過ぎた。最近は1400mを使っていたので、これだけ早いペースでは付いて行くのに精一杯だったか。
1着:コパノキッキング ◎
2着:テーオージーニアス △
3着:シュウジ △
4着:レッドアネラ
5着:ゴールドクイーン 〇
結果:
ワイド1980円的中 +1380円
ランドネがハナを奪って逃げるも、それに続いた先行集団が全く競りかけなかったことで超スローペースの上がり比べに。ローカルの重賞なのでそのあたりをちゃんと判断できる騎手がいないのか、切れる脚がない先行馬なのにスローの上がり比べの展開を作り出してしまった。具体的には、内に入り込んで動きを見せなかったロードヴァンドールの太宰、おとなしく好位で落ち着いたタニノフランケルの松若、パリンジェネシスの鮫島克駿。
そんな上がり比べのレースで、33秒台の上がりが使えるサトノガーネット、ラストドラフト、アイスストーム、ショウナンバッハの差し馬が上位に来た。
直線では一度はラストドラフトが完全に抜け出したが、そこから内にヨレてしまい、そのロスが響いて最後は外から差されてしまったような形になった。
勝ったのはサトノガーネットで、今回のようにラスト4ハロンでじわじわペースアップして直線の末脚比べのような展開は、このタイプの馬には合っているのだろう。ただ、残り1000mくらいから手が動いて、ようやく最後の200mあたりでエンジンがかかって伸びてきたので、相当ズブくもっと距離があったほうがよさそう
残る人気馬のカヴァルは前が詰まって勝負にならなかった。マイネルサーパスは切れる脚はないので早めに動いたが、それでも最後は末脚比べで不向きな形になってしまった。
1着:サトノガーネット
2着:ラストドラフト
3着:アイスストーム △
4着:ショウナンバッハ
5着:サトノソルタス
結果:-400円
香港カップはアーモンドアイ不在で物足りない海外のメンバーではあったが、それをきっちり倒して、ウインブライトが春のクイーンエリザベス2世Cに続いて香港G1連勝を決めた。スタート直後が4コーナーのシャティン2000mで大外枠、しかもスタートもあまり良くなかったものの、すぐに巻き返して好位に付けて、強いウインブライトの力を出し切った。メンバーが弱かったこともあるが、枠の不利を跳ねのけて勝ったことは、非常に価値のある内容だった。
2着にマジックワンド。直線で少し進路を失って、最後は馬群を割って内から伸びてウインブライトに迫ったが、アタマ差届かず。今年12戦目というローテーションもタフだが、馬群をものともせず突っ込むそのレースぶりもまた強さを感じられるものだった。
3着には地元のライズハイ。前哨戦の4着馬が3着に来たことを思うと、やはり今年の香港カップはメンバーの物足りなさを感じざるを得ないレースだった。
逃げ兄弟タイムワープとグロリアスフォーエバーは6着、8着。去年は仲良く上位に来たが、今年は仲良く共倒れになった。ウインブライトがいつものように早めに外から上がっていく強い競馬をしたので、絡まれるのが苦手な2頭には厳しいレースになった。それに、タイムワープのほうがよりハナを主張したいタイプなのに、今回はタイムワープが外枠だったので、すんなりポジションが決まらなかったところもこの2頭には流れが向かなかった。
1着:ウインブライト ◎
2着:マジックワンド △
3着:ライズハイ 〇
4着:フローレ ▲
5着:エディザ
結果:
ワイド520円的中 +120円
香港マイル。最内枠のカーインスターがハナを奪って、ビューティージェネレーションは控える形に。それでも世界最強マイラー、ビューティージェネレーションなら復活勝利を見せてくれると思ったが、この大舞台でも復活ならず3着に。
それならと2番人気だったインディチャンプは、スタートで出遅れ直線では内で詰まり続けて全く力を発揮できないまま7着に終わってしまった。地元オーストラリアでは日本馬に騎乗して大活躍だったレーンは、香港では逆に最悪な結果になってしまった。
実力馬2頭が力を出し切れなかったレースを制したのはアドマイヤマーズ。富士Sは苦手な瞬発力勝負で敗れていたが、東京に比べて時計もかかる香港の馬場はダイワメジャー産駒向きだったのだろう。そしてマイルCSに見向きもせずここ一本で仕上げて来た調子の良さもあったか。先日亡くなったアドマイヤのオーナー、近藤利一に捧げるような見事な勝利で、早くも3つ目のG1タイトルを手に入れた。他の日本馬と比べて、前に付けられるというのも香港では大きな強みだった。ただ、このタイプの馬だと毎年超高速馬場になる安田記念を勝てるかは怪しいし、2000mの大阪杯は少し距離が長いだろうから、日本で今後G1を勝つのは厳しいかもしれない。
2着にはワイクク。直線半ばの末脚の勢いは外から突き抜けるように思えたが、アドマイヤマーズに並びかけてからはアドマイヤマーズの勝負根性に火が付いたようで、半馬身の差が最後まで詰まらないままゴールとなった。
残る日本馬ノームコアとペルシアンナイトは4、5着と、力は出し切ったか。どちらも末脚勝負になったが、少し力不足だったか。
1着:アドマイヤマーズ △
2着:ワイクク △
3着:ビューティージェネレーション ◎
4着:ノームコア △
5着:ペルシアンナイト △
結果:-500円
スプリントは、22戦して3着を外していないという堅実派、ビートザクロックが春のチェアマンズスプリントに続いて香港の2大スプリントレースを制覇。内枠で前が詰まらないかなどというしょうもないことを不安に思ったのが間違いで、香港を知り尽くしたモレイラがきっちり中団から差し切って見せた。
2着にはホットキングプローン。去年は使い詰めで1番人気を裏切ったが、今年は叩き2走目できっちり状態を仕上げて来ていたか。まだ5歳なので来年以降にG1タイトルを手にするチャンスはあるだろう。
人気のエセロはスタートのスピードの違いで先手を取ったが、外枠からハナに立つために少しスタートから押して行く必要があり、序盤で脚を使ってしまったか。それでもしぶとく粘っての3着。実績馬が好走する香港スプリントで、3歳ながらこの成績なら来年以降はこの馬中心に香港スプリント界は回っていくかもしれない。
ミスタースタニングは逃げるエセロの後ろで絶好位からレースを進めるも伸びを欠いて4着。3連覇はならなかった。7歳で衰えは隠せなかったか。
ダノンスマッシュはスタートで出遅れ、直線も伸びず8着。今年も香港のスプリント界のレベルの高さを見せつけられた。
1着:ビートザクロック 〇
2着:ホットキングプローン △
3着:エセロ ▲
4着:ミスタースタニング ◎
5着:フルオブビューティー
結果:
ワイド310円的中 -290円
香港ヴァーズ連覇を狙うエグザルタントが外枠のロスを避けるためか、まさかの逃げの作戦に打って出ると、手ごたえ十分のまま直線に向かう。
そこに中団からラッキーライラックが外を回し、最後方から大外を回してディアドラが上がってきて直線に向かう。さらに内にはグローリーヴェイズが付け、日本馬3頭とエグザルタントの争いに。
直線ではグローリーヴェイズが内でもたつく間に、外からラッキーライラックが末脚を伸ばし、ディアドラは距離が長かったかいつもほどの末脚の切れが見られない。しかし、そこから一気に形成が変わった。さすがは香港を知り尽くしたモレイラ。グローリーヴェイズが内に切れ込んで前が開くと、あっという間にラッキーライラックを置き去りにし、逃げるエグザルタントも捕らえて3馬身半差の圧勝。内で脚を溜め、直線で末脚を存分に発揮させるモレイラの見事な騎乗で、初G1タイトルを手に入れた。
2着にはラッキーライラック。2400mの距離もこなして見せたが、グローリーヴェイズにこれだけ離されて、牡馬の一線級相手では少し厳しかったか。長距離のレベルの低い香港だからこそ通用したかもしれない。
ディアドラは4着。大外を回したロスもあったが、やはりこれまでの戦績を考えても距離が長かったか。アーモンドアイがいなければ2000mの香港カップに出て好勝負していたのではないか。
1着:グローリーヴェイズ ▲
2着:ラッキーライラック △
3着:エグザルタント ◎
4着:ディアドラ △
5着:コールドトゥザバー
結果:
ワイド610円的中 +110円